人を笑わせ、考えさせるようなユニークな研究に贈られる米国のイグ・ノーベル賞が14日、米ハーバード大で行われた授賞式で発表された。オーストラリアの先住民アボリジニの伝統的な楽器を吹くと、睡眠障害やいびき防止に効果があることを発見したチューリヒ大のミロ・プハン教授外部リンクらが平和賞を受賞した。
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プハン教授が2006年、英国の医学雑誌に発表した研究論文外部リンクによると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)やいびきの悩みを抱える被験者25人に4カ月間、アボリジニの管楽器「ディジュリドゥ」を吹いてもらい、効果を調べた。
その結果「日常的にディジュリドゥを吹くことは、中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SASの一種)の患者に効果的な代替治療法として受け入れられた」という。
SASは主に空気の通り道である上気道が睡眠中に閉塞することで起こり、呼吸が止まってしまう。症状が重い場合は、寝る際に気道を確保する機械を装着する必要がある。
ディジュリドゥを習う生徒たちの間でいびきや日中の眠気が改善したという話を聞き、プハン教授は楽器を吹いて上気道の筋肉を鍛えることで、睡眠障害が改善されるか実験しようと思ったという。
プハン教授は疫学と公衆衛生が専門。14日の授賞式にも出席した。同教授はスイスインフォの取材に対し、電子メールで「研究の斬新さと、このために私たちが取ったリスクが認められ、とてもうれしい」と話した。
本物のノーベル賞は来月発表される。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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