全体主義体制下の北朝鮮は、世界で最も閉ざされた国の一つに数えられる。しかし人道支援を行うスイスは、北朝鮮国内の広範囲での活動が許可されている。(SRF/swissinfo.ch)
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連邦外務省開発協力局(DEZA)はこれまで20年以上に渡り、北朝鮮で人道支援を行ってきた。これまでに何千もの世帯を対象にした、安全な飲み水へのアクセス確保や、食糧確保を目的とした傾斜農地の土壌浸食防止などの支援活動に着手してきた。他にもスイスは国連世界食糧計画(WFP)外部リンクの一環で、粉ミルクを配布している。
北朝鮮でのスイスの支援活動は、1995年に起こった食糧難の際の人道支援から始まった。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
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北朝鮮と韓国間の非武装地帯 配属されたスイス軍人の日常と任務
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たった一つの小さなミスが、人類にとって破滅的な影響をもたらすかもしれない― 高い緊張状態にある北朝鮮と韓国の国境地帯に配置されたスイス軍の部隊は、そのような可能性を強く意識しつつも、終わりの見えない紛争の唯一の中立軍として、冷静に任務をこなしている。
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ジュネーブで教育を受けた金正男氏 暗殺?
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スイスで教育を受けたことで知られる金正男(キムジョンナム)氏が13日、マレーシアの空港で急死した。韓国メディアは、北朝鮮の朝鮮労働党委員長・金正恩(キムジョンウン)氏の異母兄である金正男氏が、計画的に毒殺されたと報道している。マレーシアでは依然人物を特定できないとする中、捜査が進められている。そんな中、スイスのメディアはこの事件をどう報道しているのか?また、国際都市ジュネーブにある国連では北朝鮮の最近の動向をどうとらえているのだろうか?
13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で、北朝鮮の金正恩氏の異母兄、金正男氏と見られる北朝鮮国籍の男性が急死したことを受け、韓国統一省は、殺害された人物が金正男氏だと判断して捜査している。韓国では、南北関係にも大きな影響を与える大統領選挙が近づき、政界では北朝鮮情勢への関心の高まりが強まる中で、金正恩政権の反人道的な事例として、この事件を大きく取り上げているようだ。また、米国政府は、金正男氏の詳しい死因を断定できていないものの、北朝鮮の工作員によって殺害されたとの見方を強めていると報じられている。
一方、北朝鮮は依然として事件について報じていない。また、北朝鮮と二国間関係を維持しているマレーシア政府は、現在捜査を進めているが、死亡したのが正男氏だとは特定していない。
スイス・メディアの報道
スイスのドイツ語圏の日刊紙NZZは14日、「金正恩の異母兄、マレーシアで毒殺」という見出しで、「かつては金正日(キムジョンイル)の後継者候補ともされていた金正男が、金正恩の怒りをかった。北朝鮮の独裁者の異母兄である金正男がマレーシアで毒殺された。かなり年齢の離れた異母兄は、金正恩に対して批判的な立場だった」と報じた。また、金正男は「金正恩について、国家元首としてはあまりにも経験が浅く、また、若いために長続きはしないと繰り返し過小評価しており、この批判が、金正男の命取りとなった可能性がある。2011年のインタビューで金正男は、マカオで暗殺されそうになったとして、自身の生命が危険にさらされているとほのめかしていた。13年には、北朝鮮のかつてナンバー2であった彼の叔父、張成沢が処刑された」とも報道した。
フランス語圏の日刊紙ルタンは、「金正恩の兄の奇妙な死」と題して、「10年以上にわたり亡命中であった金正男は、クアラルンプールで月曜日に急死した。韓国は暗殺だとしている」と伝えた上で、スイスでの教育に触れた。「金正男は、北朝鮮の元指導者・金正日の長男だった。異母弟の金正恩のように、一時はスイスで教育を受け、ジュネーブのインターナショナル・スクールに通った。一方で弟はベルン州で教育を受けた。北朝鮮へ帰国してからの数年間は、金正日の後継者と考えられていた」と解説する。続いて、偽造パスポートで日本への入国を試みたことに触れ、「2001年5月に成田空港で、同伴した女性2人と子供と共に逮捕されたことで運命が変わった」「このような事件の後、金正日は、長男を後継から外した」と述べている。
ジュネーブの国連欧州本部における北朝鮮
国連欧州本部で14日朝に行われた軍縮会議では、北朝鮮が12日に新型弾道ミサイルを試射したことを受け、「国際平和と安全への脅威であり、安全保障理事会の決議に反する」として金正恩政権に対する制裁を呼びかける発言が複数の加盟国からあった。
北朝鮮は、ミサイルの発射を「国家主権と人民の安全を守るための自己防衛策」とするのに対し、韓国は「このような挑発は、北朝鮮の不合理な性格とミサイルや核兵器に対する熱狂的な執着を実証しており、北朝鮮の非核化を望む国際社会の決意をさらに強くするものだ」と発言。また、米国は、新型ミサイル発射を「核の脅威」として北朝鮮を非難し、日本の高見澤大使は「挑発的な行動だ」として「強く非難」した。
ジュネーブの外交筋などによると、北朝鮮の最近の動向により、北朝鮮の国際戦略がますます不透明になっているという。
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金正恩氏のスイス留学時の住宅、発見
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北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長がスイスに留学していた当時に暮らしていた住宅が先日、発見された。住宅は首都ベルンにあり、北朝鮮の外交団が使用していた。近隣住民によれば、4人の少年が「いつもバスケットボールをしていた」という。
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スイスの首都ベルンで1月中旬、旅行フェアが開催された。今年は、珍しい観光地のプロモーションが行われた。観光地としてよりも人権侵害の国として知られる全体主義国家、北朝鮮だ。(SRF/swissinfo.ch)
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スン・ミ・ユ監督の「北からの歌」が第67回ロカルノ国際映画祭で8日から3日間、上映された。これは、韓国の女性監督が米国のパスポートで北朝鮮に入り、そこで撮影したわずかな映像と北朝鮮が発表したニュースや歴史的な映像などをつないで制作したものだ。重い歴史を背負う朝鮮半島。監督は優しいまなざしで、かつての同国人とその国を深く理解しようと試みる。作品は映画祭の「新鋭監督コンペティション部門」にノミネートされた。
映画は、真っ黒な画面に浮かび上がる豆粒ほどの円形の中で演じられる、空中ブランコのシーンを映し出す。やがて平壌(ピョンヤン)空港に到着するアナウンスがバックに流れる。すると、手をしっかりとつないでいたはずの曲芸師の1人が落下する。それは、監督の脳裏に浮かぶイメージであり、朝鮮半島の南北の分断を象徴的に表現しているかのようだ。そして、分断によって生まれた北朝鮮を訪問することが監督の創作の核になっているのだと言いたいかのようだ。
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北朝鮮は手持ちのカードを見せたがらない。人権問題であれ核問題であれ、批判は権力を握る政権から剣もほろろに突き返される。このような状況の中、APカメラマンのルポ旅行に許可が下りたことはある意味重要だ。
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