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石破茂自民党新総裁、袴田巌さん再審無罪、米騒動…スイスのメディアが報じた日本のニュース

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スイスの主要報道機関が先週(9月23日〜29日)伝えた日本関連のニュースから、①自民党新総裁に石破茂氏②袴田巌さんに再審無罪③令和の米騒動の3件を要約して紹介します。 

自民党総裁に石破茂氏 

27日の自民党総裁選で石破茂元幹事長(67)が選出されたニュースはスイスでも大きく報じられました。

独語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは石破氏を「国民と政治エリートとの間の溝を象徴してきた」とし、自民党の「再出発にふさわしい人物」と見ています。一方で、党内野党を貫いてきた同氏にとって今後の舵取りは容易ではないと指摘しています。

独語圏の経済紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは、「最も危険な課題は強大な覇権国・中国との関係だ」と指摘。ただ強力な官僚機構と自民党の党組織を考えると石破氏が操れる自由は少なく、経済・社会・安全保障などの政策面で大きな飛躍は期待できないとみています。

独語圏の日刊紙NZZは「総裁選の結果は、これまでの株式市場寄りの経済政策からの脱却と方向転換の可能性があることを示している」と指摘。「石破氏が望んでいるのはより公正な経済の構築」だとし、その上で石破氏が再分配を強化するための法人税増税を支持している点などに言及しました。

仏語圏の日刊紙ル・タンとスイス公共放送(RTS)は「首相交代は現行政策に大きな影響を与えることはないだろう」と分析。停滞する経済回復や、中国・北朝鮮との国際的緊張という既存の問題に対処していかなければならないとしています。

(出典:ターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語、フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンク/ドイツ語、NZZ外部リンク/ドイツ語、ル・タン外部リンク/フランス語、RTS外部リンク/フランス語、watson外部リンク/フランス語)

詳しい記事は29日の臨時号でお伝えしています。

袴田さんに再審無罪

1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で、袴田巌さん(88)に無罪を言い渡した26日の静岡地裁の再審判決も国内各紙が報じました。

「自らの死刑執行を45年待つーー88歳で無罪判決を受けた袴田さんは、最もショッキングな司法事件の主人公だ」と報じたのは独語圏日刊紙のNZZです。20日間にもわたる激しい取り調べ、自白の強要、当局による証拠の改ざん、死刑判決から半世紀以上の時を経てようやく認められた再審請求ーーというこれまでの経緯を振り返り「この事件は、日本の司法の歴史に厳しい洞察を与える」と論じました。

独語圏の地方紙ブントも「日本の司法の緩慢な歯車を経て無罪判決を勝ち取るまでの道のりは険しかった。第1次再審請求を最高裁が棄却するまでに27年、2度目の再審請求は現在91歳になる姉の袴田英子さんが2008年に行った。そして2023年、裁判所はようやく袴田氏に有利な判決を下し、昨年10月に始まった裁判への道が開かれた」とあまりにも遅い司法の足取りに厳しい目を向けました。

夕刊紙ブリック独語版は「日本は米国と並び、未だに死刑が執行されている唯一の民主主義先進国」だと説明。死刑は社会に広く受け入れられ、世論調査で死刑廃止を支持する人はわずか9%の低さだといいます。

同紙はまた、袴田さんの事件は「日本のいわゆる人質司法制度の無数の例の一つにすぎない」という非政府組織ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局プログラムオフィサー、笠井哲平氏のコメントを紹介。「容疑者が長期間にわたる恣意的な拘禁期間を通じて自白を強要され」、「取り調べ中の脅迫」が行なわれることが珍しくないと説明しています。

(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語、ブリック外部リンク/ドイツ語、ブント外部リンク/ドイツ語、ル・タン外部リンク/フランス語、RTS外部リンク/フランス語、watson外部リンク/ドイツ語)

令和の米騒動

「ヨーロッパの人たちはパンデミックや暴風雨警報が発令されると、トイレットペーパーを買いに走る。日本は違う。日本では危機的状況でも決して切らしたくないものがある。それは国産米だ」。NZZは日本の米不足をそんなふうに取り上げました。

NZZは「米不足の原因は、2023年の収穫が猛暑の影響で不作だったこと。8月上旬の強い地震や台風などで状況が劇的に悪化した」と説明しました。

ソーシャルネット上で「米騒動」というキーワードが飛び交い、「何週間も客はスーパーマーケットで空っぽの米の棚と『1世帯につき1袋まで』という張り紙しか見つけられなかった。9月の初めには電子レンジ用の白飯パックさえ売り切れた」とその混乱ぶりを伝えています。

米がようやく店頭に並び、危機の終わりは部分的に見え始めてきたものの「以前は1000円以下だった米2kgが今は1380円。年金暮らしの身にはまだ高すぎる」と、店に米を買いに来ていた76歳の女性の切実な懐事情を例に挙げて記事を締めくくっています。

(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語) 

【スイスで報道されたその他のトピック】 

話題になったスイスのニュース 

先週、最も注目されたスイスのニュースは「自殺ほう助カプセル・サルコ、スイスで初の死者 複数人を逮捕」(記事/日本語)でした。他に「9月22日のスイス国民投票、職業年金改革と生物多様性イニシアチブは否決」(記事/日本語)も良く読まれました。 

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は10月7日(月)に掲載予定です。 

校閲:上原亜紀子

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