スイス連邦競争委員会(COMCO)は、製薬大手ノバルティス(本社・バーゼル)が競争を防止する目的で特許を不正に使用した疑いがあるとして調査を始めた。
このコンテンツが公開されたのは、
欧州委員会との合同調査で、自社の皮膚疾患治療薬を巡り、競合を追い払うために違法な手段を用いた疑いがあるとしている。COMCOは13日早朝、同社のバーゼル本社を家宅捜索した。
COMCOは声明で、ノバルティスの社名は言明しなかったが「会社は自社の持つ特許の1つを使用して訴訟手続きを開始し、競合製品から皮膚疾患治療薬を保護しようとした疑いがある」とした。
当局は、これがいわゆるブロッキング特許の使用に当たるかどうかを調べる。ブロッキング特許とは、特許権を持つ側が、競争相手の市場参入を阻止することなどを目的として、自らの発明を保護するために研究開発する特許のこと。スイスのカルテル及び他の競争制限に関する連邦法の、支配的地位の乱用に当たる可能性があるという。
ノバルティスは声明で、当局が同社を「訪問」したことを認めた上で、「調査の開始が、いかなる不正行為の認定、あるいは金銭的影響を意味するものではない。同社は当局の調査に全面的に協力し、立場の正当性を明らかにすることに自信を持っている」とした。
同社は金融ニュースサイトAWPに対し、捜索はバーゼル本社のみだと回答した。
英語からの翻訳・宇田薫
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
おすすめの記事
スイス国鉄、夜間列車を増発
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB/CFF)は27日、新ダイヤを発表した。長距離・地域間の夜行列車が増える。12月15日に発効する。
もっと読む スイス国鉄、夜間列車を増発
おすすめの記事
スイスの男女賃金格差、1.8ポイント縮小 「説明できない差」は拡大
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局が26日発表した2022年の賃金差調査によると、女性の平均賃金は男性より16.2%低かった。男女差は20年の18%から1.8ポイント縮小した。
もっと読む スイスの男女賃金格差、1.8ポイント縮小 「説明できない差」は拡大
おすすめの記事
2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート
このコンテンツが公開されたのは、
高級品市場は中国での需要減退により、2025年は米国が成長のエンジンとなる――スイスの銀行UBSが25日発表したレポートでこんな見通しを示した。
もっと読む 2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート
おすすめの記事
スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。
もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
おすすめの記事
核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画をめぐり、計画主である放射性廃棄物管理協同組合NAGRA(ナグラ)は、国民投票による決着を歓迎する姿勢を示す。
もっと読む 核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
続きを読む
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの製薬大手ノバルティスは22日、かねて予定されている1400人規模のリストラでは最大5割を管理職が占めることになると発表した。
もっと読む ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
このコンテンツが公開されたのは、
リストラを発表するのは簡単ではない。ノバルティスが先月末に発表したようなマグニチュードの大きいものであればなおさらだ。同社は今後3年で、スイス国内社員の10%に当たる1400人を削減し、グローバルでは10万8千人のうち8…
もっと読む ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
おすすめの記事
ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬会社ノバルティスは、1回約3349万円かかる高額な白血病治療薬キムリアに関する特許の1つを放棄した。スイスのNGOが欧州特許庁に異議を申し立てていた。
もっと読む ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
おすすめの記事
製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は医療現場の救世主になるかもしれない。AIの導入で診断の精度が上がり、管理業務は削減され、医師が患者と向き合う時間が増えるとされる。製薬大国のスイスはAI医療の中心地となる条件がそろっているが、複雑な問題も抱えている。
もっと読む 製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
おすすめの記事
WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブで開かれていた世界保健機関(WHO)の年次総会で、3週間の激しい交渉の末、加盟国が医薬品価格の透明性改善を目指す決議を採択した。ただ当初の目的の1つだった、製薬会社に費用の詳細を開示させることは実現できなかった。
もっと読む WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。