ウクライナ戦争は相場変動を高め、顧客のリスク志向を低下させている
© Keystone / Gaetan Bally
ウクライナでの戦争は、スイスの資産運用業界にも損失をもたらしている。相場が異常な動きを見せる場面が多く、顧客が安全志向に転じているためだ。
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独立系資産運用会社のGAMグループは今年1~6月期の税引き前営業利益が1500万フラン(約21億円)のマイナスになると発表外部リンクした。前年同期は80万フランだった。
同社の預かり資産は832億フランと、前年末の998億フランから減少した。投資部門で差し引き11億フラン、ファンド部門で同25億フラン減った。同社のペーター・サンダーソン最高経営責任者(CEO)は「2022年前半は異常な経済的・地政学条件が市場に大きな影響を及ぼした。相場変動が大きくなり、顧客はより慎重になった」と述べた。
スイス資産運用協会(AMAS)は14日、業界全体的で広く預かり資金が減少したと発表外部リンクした。世界中で金融市場が混乱したため、スイス全体の預かり資産は1兆3千億フランと6カ月で12%減少した。
AMASのアドリアン・シャッツマンCEOは「世界の金融市場のほか、ウクライナでの戦争やインフレ上昇を背景にした金融政策のカエスーラ(中央銀行による利上げ)もスイスのファンド市場に大きな爪痕を残した」と述べた。
資産運用は富裕層や年金基金など機関投資家の資金を管理する業務で、相続や慈善事業へのアドバイスも行う。銀行や独立した専門企業が手掛け、スイス金融業界の重要部門だ。
スイス銀行協会によると、スイスの銀行が預かる資産は約3兆7千億フランに上り、うち約2兆2千億フランは外国の顧客から預かっている。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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