創業者イングバル・カンプラード氏が先月、91歳で死去したスウェーデンの家具大手イケア。イケアがスカンジナビア半島以外の初の海外拠点に選んだ国は、スイスだった。イケアの製品は、この国のインテリアやライフスタイルにどんな影響を与えたのか。
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映像のインタビューで自ら語ったように、安い税金の恩恵を受けるためスイスに長い間住んだというカンプラード氏。同氏は世界でも指折りの大富豪となり、スイスの経済誌ビランツが昨年11月報じたところによれば、家族はいまだにスイスで最も裕福な一族だ。カンプラード氏は晩年、故郷のスウェーデンに戻ったが、3人の息子ペーター、ヨナス、マティアス氏がスイスに残り、ビジネスを運営している。
>>イケアの創業者が91歳で死去、スイスとも深いゆかり
収入の限られた人たちに高品質の商品を届ける。カンプラード氏はその信念を最後まで貫いた。イケア従業員の教則本には「美しい家と素敵な暮らし。子供により良い環境を」という同氏の言葉が刻まれている。
スタイリッシュな家具の価格を抑えるため、購入者が自分で自宅に運んで組み立てる手法をとった。組み立て前の商品を出来る限り薄くフラットな梱包にまとめる配慮も施した。
1973年、スカンジナビア半島以外の初の海外店舗として出店したのが、チューリヒ郊外にあるアールガウ州シュプライテンバッハ。「スイスでうまく行けば、どこでもやって行ける」。カンプラード氏はここで、自らの信念を実践した。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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チューリヒ州は2016年に、政府から割り当てられた780人の難民申請者を受け入れなければならない。そのうちの250人は、普段は見本市の展示会場として使われている、チューリヒ市内のエリコンにあるホールに収容される予定だ。
このためにチューリヒ市は今月18日、ホームページのプレスリリースで、同会場に「イケア・ハウス」とも呼ばれる仮設住宅を設置すると発表。仮設住宅は大きなホールでの共同生活において、プライベート空間を確保してくれるはずだった。だがその後、この仮設住宅を屋内で使用した場合に火災時の安全性が保障されないとの理由から、当局はその決定を撤回した。
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