スイスの小学校で新型肺炎=SARSの感染パニック
イースター休暇中に中国、上海への旅行から戻った教員二人とコーラスグループとの接触を避けるため、ジュネーブ州、シャンペールの小学校で180人の生徒が登校拒否
27日、ジュネーブ州政府は不安を静めるために、中国から帰国したメンバーに10日間は自宅謹慎するように勧告したが、それでも月曜日、小学校の半数の親が子供の登校をためらった。
経過
ジュネーブ州の公共教育に携るシャルル・ベール氏は「これは、大げさな騒ぎで自宅謹慎は公衆衛生上というよりは精神安定上の決断である」と語った。生徒達の親は中国渡航した生徒が医療機関の検査を受ければ学校に戻ってもいいという政府の見方に反対しており、教員と同様の隔離期間を設けるべきだともめている。
スイス政府の対応批判
ベール氏は日曜の夜、スイステレビでスイス連邦公衆衛生局の対応を批判した。同氏はスイス紙トリビューン・ド・ジュネーブに「公衆衛生局は北京への渡航勧告を出すのが遅すぎた。公衆衛生局はバーゼルの時計見本市では独自の政策を取ったにも関わらず、北京に関してはWHOの対応に従った」と語った。「米国や仏、伊は4月14日にすでに北京への渡航自粛勧告を出していたのにスイスではWHOの勧告が発表される23日まで待ったのがいけなかった」と説明する。「WHOは国連の専門機関なので慎重でなければならず、スイスの立場より遅くなるのは仕方ない。勧告を出していればイースター休みに生徒達が中国に行くことを避けられた」と述べた。
WHO最新報告
世界保健機関(WHO、本部 、ジュネーブ)は29日報告では重症急性呼吸器症候(SARS)感染者は世界28カ国で計5462人、死者は353人にも達し、死亡率は上昇した。WHOは28日にベトナムを感染対象地域から外すことを発表し、中国以外のカナダ、香港、シンガポールでは「ピークを超えた」との見方をしている。スイスでは25日付けで9人、感染可能性のある患者が連邦公衆衛生局に報告されたがWHO報告では1人。
また、WHOのブルントラント事務局長は29日、ジュネーブ本部で記者会見を行い、カナダのオンタリオ州トロントを30日から渡航自粛勧告地域から外すことを発表した。しかし、WHOが勧告した他の地域、中国・広東省、山西省、北京と香港への渡航自粛勧告は解除されるめどはまだないと述べた。
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