スイス冬山の楽しみ方ーなんちゃってスキーヤー編
スイスといえば…やっぱりウィンタースポーツ。中でも私はスキーが大好きです。
私の両親は山で出会い、私の名前も二人の大好きな山、穂高連峰から取ったと小さいころから聞かされていました。「あの美しい穂高のような女性になって欲しい」と、美穂子とつけてくれたのです。そのせいか私は山が大好き。遠くから山を眺めているだけで心が落ち着き、また一旦山の中に入ると逆に心も体もうきうきします。
スキーには歩き始める前から連れて行ってもらったようで(もちろんその頃の事は覚えていませんが)、物心着いた頃からスキーや山にはなじみがありました。そして大学に入りスキーサークルの活動の一環で、毎年冬はスキーインストラクターとして長野県の菅平高原に山ごもりをしていました。その姉妹都市にあたるスイスのダヴォス(Davos)には一度行ってみたいと常に願っていたので、初めてダヴォスに行ったときの感動といったら計り知れません。なにせスキー学校のウェアーに姉妹都市ダヴォスの文字が入っているものを5年も着ていたので、ダヴォスの文字にすら親しみを感じたくらいだったのです。
チューリッヒに住んでいたころは、会社の慰安旅行などでも毎年ダヴォスに行っていましたが、ティチーノへ引っ越してからはちょっと遠くなってしまい、日帰りでも行ける場所、週末一泊でも楽に行ける場所へとスキーを楽しむ場所も変わってきました。
ここ数年毎年行っているお隣グラウビュンデン州のセドゥルン(Sedrun)地区のスキー場は、縦長のスキー場で、人が少ない上に雪質も良く、初級・中級向けのやや広めのバーン。私と知り合ってからスキーをするようになった主人が滑りやすいと気に入りよく行くようになりました。さらにリフトや電車に乗れば、アンデルマット(Andermatt)まで走行距離125kmを楽しめる、醍醐味のあるスキー場へと様変わりします。昨シーズンはセドゥルンにアパートを借り、スキー目的で年末年始に遊びに来た母と1週間「なんちゃってスキーヤー」を楽しみました。そのときの様子を少しご紹介しましょう。
まず移動当日は標高の低い町の中でもマイナス10度を越える寒さだったので、後日スキーを満喫するため無理をせず電車に乗ってアンデルマットまで散策に行くことにしました。日本でも有名な氷河特急の各駅停車に乗り、途中標高2044mのオーバーアルプ峠(Oberalppass)を通過しながら約50分かけて目的地へ。少し遅めのランチをとり、雪と氷で真っ白になった川をみながら町の散策を楽しみました。
2日目は足慣らしの日としてお気に入りのディーニ(Dieni)でスキー。あまり無理をしないようにと思ってはいたものの、途中やや急になる斜面もうまくこなす二人を見て、行けるところまで行ってみようかとなり、結局なんだかんだとオーバーアルプ峠までたどり着きました。冷え切った体を温めるためグリューワインで乾杯。おいしいねぇと2杯飲んだところで、今日はスキー打ちきりっ!!…と電車で帰宅。ここがなんちゃってスキーヤーのよいところです。ちなみにグリューワインとはスパイスの入った甘めのホットワインで、寒い冬にはスイスの各地、街でも山でもよく見かけます(ご興味のある方は、リンクをご参照ください)。
3日目は電車でネッチェン(Nätschen)という駅まで行き、ここで下車。そり滑りを楽しむ人を横目にアンデルマットまで滑走。途中屋外で焼きソーセージとパン、そしてグリューワインのランチを取り、再びスキーを満喫。
4日目以降もリフトと電車そしてスキーでの滑走をうまく組み合わせて、当時70歳であった母にも負担なくスキーを楽しめるよう、また雪の状況や天候をみながら、午前中はスキーを楽しみ、午後はグリューワインやリキュール入りのコーヒー片手に日光浴とまったりした時間を過ごしました。これぞまさになんちゃってスキーヤーの流儀です。別の言い方をするとかなり贅沢なスキー旅行です。
学生時代はリフトに何十本と乗り、毎日何十km滑走したぞーと喜んでいた私でしたが、グリューワインに出会ってからはすっかり「スキーはほどほど」、メインは「山でのんびり」となってしまいました。でもこれなら70歳の私でもまだまだ楽しめると母の太鼓判付きなので、100歳になったとき、スキー歴100年と言えるよう、これからも楽しみたいと思います。
ナヴァーラ美穂子
スイス・イタリア語圏、ルガーノに住んでいます、美穂子です。
2004年夏に仕事の関係で移住し、あっという間に7年が経ちました。7年間に4都市(チューリヒ、ベリンツォーナ、メンドリージオ、ルガーノ)に住み、2年前からルガーノに落ち着きました。
趣味は”食べ&飲み”、食いしん坊で自然が大好きな、元?!江戸っ子、現!!ルガネーゼ(伊語でルガーノ人)です。
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