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スイス軍にウーマンパワー

国外で活動するスイス軍は男性兵に占められているが、今後は女性兵の役割が重要になってくると見られる。 Keystone

国外での平和維持活動に派遣されるスイス軍の女性兵の比率を高めたほうが、効率ある活動ができるという報告が発表になった。

スイス軍が連邦憲法成立以来はじめて、国外で活動したのは1953年のこと。それ以来、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)北緯38度線に兵士を送り停戦の監視をしている。現在は、国連の平和維持活動の一環としてコソボ、ボスニア、中東などに平和維持軍を派遣している。

「女性兵が積極的に国外の平和維持軍に参加することは、軍隊に良い影響をもたらす」女性兵についてのレポートをまとめた責任者のクリストフ・ケックアイス氏が発表した。女性兵は軍隊の雰囲気を高める。国外で活動する平和維持軍に女性兵を積極的に派遣するべきであるという。海外派遣の経験がある兵士とのヒヤリングを通し、「平和維持軍へ参加したいと思う意欲を女性兵にも奮い立たせなければ」と感じたという。

女性の重要な役割

 隊内ばかりではなく、対外的にも女性兵の存在は、軍の活動を助けスイス軍のイメージアップにつながるという。女性は現地の市民との関係作りが上手。現地で緊張した雰囲気を和らげるのに女性の役割は重要という。国連でも平和維持活動の中での女性兵の役割を重視しているが、スイス軍も女性兵を積極的に派遣し、その活動の質の向上を図りたいとケックアイス氏は語る。 

 スイスが平和維持軍を派遣するのは国際社会への貢献活動の一環だが、国際社会でスイス人が他国の人と協力することで、その人が個人的また職業的な経験を積むことは有意義であると同氏は主張する。

女性兵の権限拡大

 これまで女性兵は武器の携帯などに制限があったが、昨年から男女の区別が撤廃され、男性兵と同等の仕事をすることができるようになった。将来は、海外派遣軍の女性兵の比率を法的に決めることも検討される。

 現在195人の兵士が平和維持軍への参加のため教育を受けているが、そのうち9人が女性だ。女性への教育は手厚く、すでに派遣された経験がある女性兵との情報交換の場も設けられることになっている。

swissinfo 外電 佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳

スイス軍の国外活動
1953年 北緯38度線に93人派遣
派遣状況/コソボ 220人/ボスニア 10人/アフガニスタン4人(将校クラス)
その他、将校クラス20人が中東、グルジア、コンゴ、エチオピア/エリトリアで活動。

国外の平和維持軍における女性の役割
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