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ビンラディンはUBS銀行の元顧客

同時多発テロの首謀者とみられるウサマ・ビンラディンは1997年までジュネーブに口座を所有していた。 Keystone

ウサマが利用していたスイス大手銀行UBSの575167番口座について、異母兄弟でスイス国籍を持つイェスラム・ビンラディン氏がパリの予審判事から事情を聴取された。

9月末に行われた聴取に対し、同氏は問題の口座は父親でサウジアラビア最大のゼネコンの総帥であるムハンマド・ビンラディン氏が一族への相続を分配するために開いた口座であると答えた。1990年に送金された45万ドル(約5千万円)はウサマへの遺産に相当することになる。

同口座は1990年から1997年までジュネーブのUBS銀行に異母兄弟54人の内の2人が開いたもの。同時期に一族54人の子供たちへの相続のため、同数の口座が世界各地の銀行に開かれていたという。また、イェスラム氏はこの口座開設や資金送受には関与していないと伝えている。

マネーロンダリング疑惑

 『塗りつぶされた真実』(日本では幻冬舎から2002年8月に出版)の著者であり、かつ同時多発テロの被害者遺族の弁護士であるジャン=シャルル・ブリザール氏は司法当局と協力して共同口座に関する調査報告を9月上旬に提出した。パリ予審判事はこの報告を受けてイェスラム・ビンラディン氏を参考人として事情聴取した。

 パリ予審判事は不正資金流通対策情報機構(Tracfin)からの報告に基づいて、すでに01年から資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑でイェスラム氏の率いる「サウジ投資会社」の資金の動きを調査していた。

異母兄弟はスイス人

 イェスラム氏はこれまでにも度々「20年来、ウサマと会っていない」と証言し、国際テロ組織アルカイダの指導者との一切の関係を否定、同時多発テロを糾弾している。1985年からジュネーブに住む同氏は2001年5月にはスイスに帰化した。なお、同氏が帰化する際にもスイスの司法当局から口座審査が行われた。

スイスでは出版禁止騒ぎ

 『塗りつぶされた真実』はスイスではイェスラム氏の訴えにより一時出版禁止になった。この本は前出のジャン・シャルル・ブリザール氏とギヨーム・ダスキエ氏共著でブッシュ家とビンラディン家の石油利権と国際金融ネットワークのつながりを暴く内容。そのなかの一ヶ所でイェスラム氏のサウジ投資会社がテロリストの資金源になっている旨を示唆し、「サウジ投資会社は最も不透明な会社である」との記述がある。この部分に意義があるとして出版の差し止めを申し出た。さらに、同氏は出版社と著者に損害賠償も求めている。


スイス国際放送、 屋山明乃(ややまあけの)

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