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北朝鮮非難決議案が国連人権委員会で採択される

金正日総書記が北朝鮮人民共和国軍の軍医大学を見学しているところ。(2003年4月3日) Keystone

国連欧州本部で開催中の国連人権委員会で欧州連合(EU)が北朝鮮の(外国人)拉致問題なども含めた人権状況を非難する決議案を提出、53カ国のメンバーから賛成28票、反対10票、棄権14票で16日、採択された。

国連人権委員会で北朝鮮の非難決議が取り上げられるのは初めて。日本や米国、カナダやスイスなどが共同提案国として参加した。この決議案に中国やキューバなどが「アメリカに追従しているだけだ」と反対し、韓国は採決前に退席した。

決議
 
 同決議は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国、以下北朝鮮)の多くの収容所で強制労働、拷問が行われていることを指摘し、言論、宗教や結社の自由の弾圧や移動の自由など組織的で深刻な人権侵害が行われていることを懸念、人権状況の改善を求めている。日本にとって重要なのは、日本人を始めとする拉致問題の全面解決を要求する項目が入っていることで、かなり強い内容の非難決議となっている。

 北朝鮮は人権委員会での演説でこの決議案に反発し「対話と協力の道に対する裏切りで、もし採決されれば今後EUとの対話に大きな障害になるだろう」と声を上げ「この決議案は北朝鮮の実際の状況を誇張している」と非難した。

 反対票を投じた国は他にロシア、シリア、マレーシアやベトナムなど。アフリカ諸国の多くが棄権した。

国連人権委員会

 国連人権委員会は1946年に人権問題に関する研究や人権遵守の監視などのため、国連経済社会理事会の補助機関として設置され、これまでにも世界人権宣言、国際人権規約、子供の権利条約など人権規約を起草してきた。現在は日本を含む53カ国の各国代表で構成され、非政府組織も参加する。

日本人拉致被害者ヒヤリング

 委員会には専門家による作業部会があり、調査結果に基づき、必要な人権上の措置を各国政府に要請する仕組みになっている。「強制的失踪作業会」のヒアリングが22日に始まり、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の幹事の島田洋一さんと「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)の5人が20日からジュネーブ訪問を予定。国連機関の調査により、真相解明に近づくことが期待されている。

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