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国連部会で拉致被害者の救出を訴える

国連人権委員会強制的失踪作業部会に主席するためにジュネーブを訪れた外務省の斎木昭隆アジア大洋州局審議官。 swissinfo.ch

ジュネーブで開かれている国連人権委員会強制的失踪作業部会で12日、外務省の斎木昭隆アジア大洋州局審議官は北朝鮮による日本人拉致事件の早期解決を訴え追加情報を提出するとともに曽我ひとみさん(44)とともに拉致されたまま消息不明になっている母親・ミヨシさんの救出を訴える曽我さんの書簡を代読した。

部会後、斎木審議官は「これは政治的な問題よりもむしろ、人道問題であるという観点から所在確認の努力をお願いした」と語り、「作業部会の委員は非常に熱心に聞いてくれ、問題の解決に向けて努力すると答えくれた」と報告した。

曽我さんの書簡

 作業部会で読まれた曽我ひとみさんの書簡は拉致された1978年当時の詳しい状況を綴っている。母親と買い物の帰りに3人の男に後ろから手や足をふさがれてから袋をかぶせられて船で北朝鮮・清津へ連れ去られたことや母親の行方について「日本で元気に暮らしているから心配しなくてもいい」といわれたこと、などを説明。さらに、曽我さんは「今年母は72才になります。体のことが大変心配です。どうか、私に親孝行をさせて下さい」と切実な思いを語り、「何の消息も分かっていない母を助けてください」と結んでいる。

追加情報

 これまで、作業部会は8人の拉致被害者について取り上げていたが、今年9月から曽我ひとみさんの母、ミヨシさんの件も審議されることを決定した。なお、本日の日本政府の陳述では北朝鮮側の資料が信憑性に欠ける例として拉致被害者8人のうち7名の死亡確認書が同一の病院から発行されるなど不自然なることや、溺死とされている市川修一さんが水泳が好きでなかったにもかかわらず、9月に気温15度と寒い海で泳いだという事実を指摘、さらに8名の遺体が確認されていないことなどを詳しく立証した。 

強制的失踪作業部会

 国連人権委員会の同作業部会は拉致問題の存在を北朝鮮が認めていなかったため、情報不十分で停止していたが、昨年9月の日朝首脳会談で北朝鮮が初めて拉致を認めたことから2002年の11月に「救う会」が申し立てを再提起し、12月から再び対象に取り上げられた。作業部会は5人ほどの専門家委員で構成され、申し立てや調査に基づき各国政府に必要な人権上の措置を求める仕組みになっている。毎年、春、夏、秋の3回開かれ、次の部会は来年の4月の予定。


スイス国際放送、屋山明乃(ややまあけの)

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