安楽死で逝ったスイス元国会議員 ティス・イェニー 最終話
ティス・イェニーのドキュメンタリーの撮影は、突然の終わりを迎えた。イェニーの容体が急変したのだ。
「残念ながら、その時が来てしまいました。今グラールスの病院にいます。ひどい胃の感染症にかかってしまった。数日間は病院です。次の月曜の予定は延期してください。すみません。ティス・イェニー」
これが、次の撮影を控えた土曜日の深夜、担当記者に届いたメールだ。
イェニーと親しいクリストフ・メルゲリ国民党議員は、イェニーが2014年11月15日、自殺ほう助団体エグジットの助けを借りて、62歳の生涯を閉じたと公表した。メルゲリは自殺ほう助にも立ち会っていた。
葬儀から1週間。1人自宅に戻っていたパートナーのウルズラ・アプゴットシュポンが、イェニーの最期の瞬間について明かした。人生に自ら終止符を打つと決めたイェニーとアプゴットシュポンは、病床でどんな会話を交わしたのか。
2014年11月30日に放送された、スイス公共放送(SRF、独語圏)の報道番組「Reporter」のドキュメンタリー映像。胃がんが悪化した際には安楽死すると公言していた元上院議員ティス・イェニーに密着し、がんとの闘いや自殺ほう助についての思いを聞いた。
イェニーはグラールス州出身。建設会社社長で、1998年6月に保守系右派・国民党から全州議会(上院)議員に初当選。政治の透明性のためなら党是に反する行動も辞さず、上院の電子採決システム導入に大きく貢献した。
だが2014年2月、胃がんを理由に政界を引退。9カ月後の同年11月、家族が見守る中、グラールス州の病院で自殺ほう助により亡くなった。
swissinfo.chでは2020年12月18日から同ドキュメンタリー映像(計22分)を4回に分け、日本語字幕を付けて配信した。
(敬称略、文・字幕翻訳/宇田薫)
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