死刑廃止に向けて
世界死刑廃止連盟 ( WCADP ) によると、2006年に死刑に処された人の数は世界25カ国で1591人に上った。しかし、全体的には減少の傾向にある。
同連盟は10月10日を「世界死刑廃止デー」に定めている。この日にちなんで、カルミ・レ連邦大統領が死刑廃止を呼びかけた。
スイスのスタンス
「死刑に釈明の余地はない。絶対に廃止されるべき」とカルミ・レ連邦大臣は明言する。そして、「国民の安全を保証することは国家の大切な役割の1つ。その国家が人間の生死を決定していて、国は人々の安全を守る保証機関として信頼し続けてもらえるのでしょうか」と問いかける。
「死刑を行えば、国は殺人者になるかもしれません。なぜなら、誤審は絶対に避けられないからです」
スイスは、国際連合 ( UN ) や欧州議会など、死刑廃止を求める国際組織の議論に活発に参加している。
死刑の現状
フランスに本部を置く世界死刑廃止連盟には、アムネスティ・インターナショナルなど60以上の人権団体や労働組合、職業連盟などが加盟している。同連盟によると、2006年の処刑数全体のうち約9割が、中国、イラン、イラク、パキスタン、スーダン、そしてアメリカの6カ国で行われた。また、少なくとも3861人が55カ国で死刑の宣告を受けている。
しかし、同連盟は死刑廃止を求める時期としては今がベストだとみている。これまでに国連加盟国のうち133カ国が死刑をすでに廃止、ヨーロッパではベラルーシを除いてすべての国が死刑を廃止している。
2006年にアフリカで死刑を実行したのは6カ国。ガーナ、マラウイ、ナイジェリア、ブルンジ、ガボン、マリの各国は2007年に死刑廃止の方向に動き出した。混乱のルアンダではすでに廃止されている。
また、アメリカでも死刑の数は減少しており、2006年には史上最低の53人にとどまっている。アジアではフィリピンが2006年に死刑を廃止。中国でも処刑数は減少傾向にある。
多くの人権団体が各国政府に対して世界的な死刑執行モラトリアムを要求しており、すでに500万人以上の署名が集まった。国連総会は10月末にこのモラトリアムについて協議する予定だ。
swissinfo、外電
今日10月10日は第5回世界死刑廃止デーおよび第1回ヨーロッパ死刑廃止デー。
2002年5月ローマに発足した同連盟には60以上の組織が加盟している。
その中には非政府組織 ( NGO ) や弁護士会、地方当局、労働組合なども含まれる。
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