台湾の黄偉峰(David Huang)駐スイス代表は15日、独語圏日刊紙アールガウアー・ツァイトゥングに対し、スイスと台湾の間にはより「現実的な協力関係」を築く余地があり、台湾は「スイスとの自由貿易協定(FTA)に前向きだ」と語った外部リンク。
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スイスは台湾を国として公式に承認はしていないが、非公式な関係は維持している。スイスにとって台湾はアジアで5番目に大きな輸出相手国であり、貿易額も年々増加していることから、スイスでは近年、台湾とのFTA締結を求める声が幾度となく上がっている。
しかし、いたずらに中国を刺激したくないスイス連邦政府は台湾との協定締結に及び腰だ。
黄氏は、スイス人は政治だけでなくビジネス関係においても、中国政府を怒らせたくないばかりに「過剰な警戒心」を持つ傾向が見られると話す。結果として心理的な「自己検閲」が行われ、スイス当局や多くのスイス企業は、面倒な手間を省くために台湾との取引を一切行わないという。
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同紙によると、スイス政府が避けたいのは、台湾との協定締結により、2014年に発効した中国とのFTAの改定が更に先延ばしになることだ。スイス政府は、関税の引き下げ対象となるスイス製品を増やし、持続可能性に関する内容を盛り込むため、中国とのFTA見直しを進めたいと考えている。しかし、中国は2018年に話し合いを拒否。以来、改定に向けた取り組みは停滞している。
スイスでは台湾との関係緊密化を求める声が大きくなっている。6月には多岐に渡る分野での関係深化を望む動議外部リンクが連邦議会に提出された。スイスの中国への依存度が高すぎるとして、様々な政党の政治家がこうした台湾との関係強化を求めている。ただその一方で、経済関係の強い中国との衝突を避けたいという声も聞かれる。
黄氏は同紙に、「民主的で輸出志向型の小国であるスイスと台湾は、強者の意思に依存せず、ルールに基づいて国際秩序が機能することに大きな関心を持っている」と話した。
スイスは早くから中国政府と深い人脈を築き、良好な関係を保ってきた。だが習近平政権がナショナリズムを煽るなか、台湾問題に関しては難しいかじ取りを迫られている。
台湾を国家として承認し、国交を結んでいる国は世界で20カ国弱に過ぎない。スイスを含む多くの国は、台湾と非公式な関係を維持している。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
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