新型コロナウイルスの感染拡大防止の措置により、国際連合ジュネーブ事務局の建物パレ・デ・ナシオンは、3月中旬から空っぽになり幽霊船と化した。国連を拠点とする写真家マーク・ヘンリーは、長い廊下を渡り歩き、建物の雰囲気を撮影した。
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Mark Henley(写真)& Frédéric Burnand(文)
国際連合の第二の議場であるパレ・デ・ナシオンは、普段であれば職員1500人と、毎年ジュネーブで開催される約2500の国際会議や会合に参加するために世界中から集まる20万人の代表者の出入りで賑わう。
しかし、3月13日、人権理事会の本会議は中断された。それ以来、この85万3000立方メートルの巨大な建物は、大惨事が迫っているかのように多くの訪問者を失い、急に閑散と人がいなくなった。1930年代後半に国際連盟が第二次世界大戦の勃発でこの建物を放棄したのと同じように。
国連の活動を激減させるのは、今や戦争ではなく世界的な大流行「パンデミック」だ。そして、現在も続く健康危機は、大きな経済的損失と同様に、すべての国連加盟国の結束が必要とされる。しかし、ホスト国であるスイスが規制緩和措置を宣言してから初めて主要会議が5月18日に開催されたものの、多国間システムの完全復帰にはほど遠い。世界保健機関(WHO)総会は2日間に短縮され、ビデオ会議に置き換わった。それでも新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に関する決議が全会一致で採択され、なんとか加盟国の結束を示すことができた。
再開の見通し
パレ・デ・ナシオンは徐々に再び人で一杯になるだろう。タチアナ・ヴァロヴァヤ国連事務局長が発表したように、早ければ来週にも職員が自主的に復帰できるようになる。もちろん、パレ・デ・ナシオンで人同士の距離を順守することになる。利用者の一方通行を確保するために、通路に看板を設置した。また、限られた人数が同時に部屋に入室できるようになる。会議や会合については、早ければ6月中旬には感染対策に合わせた形で再開する可能性があるが、空路入国の再開はまだ不透明だ。
長期的には、国連やジュネーブ近郊の地域で働くすべての人々が資金不足に陥る恐れがある。地元のホテルではすでに数百万フラン相当が不足している。そして、各国とも自国の経済基盤を守るために借金をし、国連の資金調達が脅かされてもいる。また、ジュネーブで生活する市民社会も、予算削減の代償を支払うことになるのを恐れている。
鉛空の下、パレ・デ・ナシオンでの活動が再開するだろう。
(仏語からの翻訳・上原亜紀子)
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