多国間主義の重要なハブである国際都市・ジュネーブ。ロシアによるウクライナ侵攻は外交官、援助機関、世界貿易機関(WTO)、そしてNGOと、ジュネーブに集まるあらゆる国際機関に課題を突き付ける。
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コロナ下では、国際機関の中でも特に注目を浴びたのが世界保健機関(WHO)だった。ウクライナ戦争では人権や人道問題に焦点が移った。各国際機関は、戦争を止めるためにロシアを孤立させるべきなのか、岐路に立たされている。
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ウクライナ戦争の矢面に立つ国際交渉の場ジュネーブ
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ロシアが2022年2月24日にウクライナに侵攻してから1年。いまだに戦争が終結する兆しはない。ジュネーブの国際機関は、戦争を止めるようロシアに圧力をかけるため、ロシアを孤立させるかどうかでジレンマに陥っている。
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ジュネーブにある国連機関のうち重要度を増しているのが国連人権理事会(HRC)だ。2022年4月の総会で、ウクライナへの「重大かつ組織的な人権侵害」を理由に、人権理事会での理事国としてのロシアの資格停止を決議した。2023年3月には、HRCの委託を受けた独立調査委員会が、ロシアはウクライナで「広範な戦争犯罪」を犯したと指摘し、人道に対する犯罪も引き続き調査していくと表明した。同4月には委員会は任期を1年延長することが決まった。HRCはまた、ロシア国内の人権状況に関する特別報告者も任命した。
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ロシアの発電所攻撃は人道法違反の可能性 国連調査委が最終報告
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国連のウクライナに関する独立調査委員会は16日、ロシアはウクライナで戦争犯罪を行い、人道に対する罪を犯した可能性もあるとする最終報告書を発表した。
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こちらのswissinfo.chオリジナル動画では、HRCの仕事ぶりを詳しく解説している。
対ロシア外交は細々と続いており、ウクライナ産穀物の輸出合意は国連の仲介のもと薄氷の更新を続けてきた。この合意は、ウクライナ戦争が途上国に与えるダメージの軽減に一定の役割を果たしている。
国連の人権機関の頂点に立つのは国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)。弁務官を務めるのは、昨年10月17日にチリ出身のミチェル・バチェレ氏から引き継いだオーストリア出身のフォルカー・トゥルク氏だ。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり分裂状態にある国連や、世界中で起きる人権危機、中国との付き合い方など多くの課題が山積している。
食糧危機
ウクライナの難民や人道危機に対しては、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)といったジュネーブにある他の国連機関も救援活動に尽力している。戦争により世界の一部で食糧危機が深刻化。特にアフリカや中東では供給網が断たれ、価格の上昇や援助の資金不足が生じている。
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赤十字国際委員会
ジュネーブ条約の守護者であり、ジュネーブに拠点を置く数多くの国際NGOの中で最も有名な赤十字国際委員会(ICRC)も、ウクライナ戦争で対応を迫られている。戦争に伴う資金不足は深刻化し、2023年4月には1500人の人員削減を発表した。世界350カ所にある拠点は少なくとも20カ所閉鎖する。複数の支援事業は規模縮小・棚上げする方針だ。
ICRCは紛争が起きたときに双方の意見を聞き、人命を救うことができるよう中立を堅持する。国際法上、国家はICRCに捕虜との面会を認めなければならないが、ウクライナのロシア支配地域では完全には面会できないのが現状で、批判の的となっている。
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ミリヤナ・スポリアリッチ・エッゲー氏が赤十字国際委員会(ICRC)の初の女性トップとなる。世界の紛争がますます複雑化し、喫緊の課題が山積する中、国際人道支援組織の難しいかじとりを迫られる。
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新型コロナウイルスとWHO
世界の耳目がウクライナに移る一方、新型コロナウイルスのパンデミックも完全に終わったわけではない。その起源は未解明のままで、世界保健機関(WHO)はこれまでの教訓を得る取り組みを続けている。2021年12月に開かれたWHOの特別会合で、加盟国は次なるパンデミックに対応するための新たな条約作りに向け、議論を行うことで合意した。市民団体は条約作りへの参加を求めており、策定には数年を要しそうだ。
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世界保健機関(WHO)のスイスを含む194の加盟国は、将来の感染症のパンデミック(世界的大流行)対応を定めた「パンデミック条約」の議論を始めることで合意した。
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ジュネーブに本部があるWHOは1948年に設立。全ての人が必要な時に基礎的な保健医療サービスを受けられる環境づくりを促進するほか、国際基準を定め、公衆衛生上の緊急事態に対する国際的対応を調整することが同機関の役割だ。
WTOとワクチン
ジュネーブに本部があるWTOもまた、組織改革を求める声に直面している。同組織で昨年、最も賛否の分かれた議論の1つが、ワクチンの不平等分配を巡る内容だった。2022年6月にジュネーブで開かれた閣僚会合では、危機の際にワクチンの特許権を保留すべきかどうかを巡る議論が決着を見た。だが先進・途上国双方にとって納得のいかない内容になった。
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世界貿易機関(WTO)閣僚会議は17日、難航した交渉の末、ワクチンの特許放棄など6つの貿易ルールからなる貿易パッケージで合意し、幕を閉じた。しかし、すべての人が歓迎したわけではいない。
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WTOは164カ国が加盟。長い交渉の歴史を持つ。
国際司法
国連では最近、国際司法調査官と専門家によるチームがシリア、ミャンマー、スリランカで発生した深刻な国際犯罪に対し、証拠収集と保存、そして刑事訴追の可能性を模索している。
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変化にさらされる国際都市ジュネーブ
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国際都市ジュネーブは多国間主義の重要な拠点だ。スイス連邦政府はその振興に力を入れ、投資している。しかし、変化する国際都市ジュネーブは新たな課題に直面している。そこで働くとはどういうことだろうか?
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「肥沃なエコシステム」
国際都市ジュネーブには国連欧州本部、40以上もの国際機関に加え、430を超えるNGOや179カ国・地域の外交使節団が集まる。また政府やNGO、国際機関のほか、ジュネーブを始めとするスイスの学術研究機関など、ある分野のさまざまなアクターが集まる「プラットフォーム」も17件ある。その1つ、ジュネーブ・サイエンス・ディプロマシー・アンティシペーター財団(GESDA)は、未来志向のスタートアップ企業が集まる「バイオテック・キャンパス」内を拠点とする。
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