ウクライナ平和サミット 「おとぎ話」のような期待に応えられず
スイスが主催し、ルツェルン州ビュルゲンシュトックで15、16日開かれたウクライナ平和サミットについて、世界のメディアはさまざまな反応を示した。
閉幕時の共同声明には84の国・組織が署名。戦争の責任はロシア側にあることを確認した。
しかし、この声明はインド、南アフリカ、サウジアラビア、メキシコ、ブラジルを含むいくつかの出席者の支持を得られなかった。ロシアは招待されず、中国は不参加だった。
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ロシアとウクライナのメディアは当然ながら、サミットの結果について相反する判断を下した。ウクライナ紙「ヨーロピアン・プラウダ(European Pravda)」は、閉幕時の声明は当初草案から大幅な変更が含まれていると報じた。
「短期間に根本的な修正が行われ、重要な問題も修正された。更新後の草案は、ウクライナにとってかなり受け入れやすいものになった。この草案の著者は(ついに!)戦争を『ロシアの侵略』と呼ぶ勇気を見つけた」
ロシア国営メディアは冷ややかで、政府が以前に述べた見解を繰り返した。ロシア紙MKは「スイスで行われた平和サミットの結果は、素人目にも怪しげだ」と報じた。
「外交は綱渡り状態」
署名を拒否した国の1つ、南アフリカは国連人権理事会委員会から戦争犯罪と人権侵害で非難されているにもかかわらず、イスラエルが平和サミットに参加したことを問題視した。
南アフリカの国内紙デイリー・マーベリックは、同国代表として出席したシドニー・ムファマディ氏の発言を引用。「世界中のあらゆる紛争状況において国際法を統一的かつ公正に実施することができないのは、国際的な説明責任の規範的枠組みを弱め、すべての人にとって世界の安全を低下させてしまう」とした。
スペイン紙エル・パイスは、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領が直前で平和サミットから離脱したと報じた。ペトロ大統領は15日、X(旧ツイッター)上で「戦争参加国によって」、サミットの「結論はすでに決まっている」とつづった。
インド紙インディアン・エクスプレスは、インドの声明不支持に関し「戦争が始まって以来、インド政府の外交は綱渡り状態」であることのしるしだと分析。同国の複数のメディアは、インドが武器や低価格の石油輸入をロシアに依存していることを指摘した。
「危険な幻想」
平和サミットは何よりも、米国・欧州と、中国が主導するグローバルサウス諸国との溝を深めた。毎日新聞は「国際社会の分裂は解消されないまま、平和を実現することの難しさが再び露呈した」と指摘した。
スイスのメディアも、共同声明で露呈した世界的なコンセンサスの欠如に焦点を当てた。
無料紙ブリックは「この週末、おとぎ話に出てくるようなビュルゲンシュトックの高級ホテルで、人々は紛争の外交的解決策がどうにか見つかるかもしれない、というおとぎ話のような考えに浸っていた。それは危険な幻想だ」と皮肉った。
国内紙ブントは、共同声明にインド、サウジアラビア、メキシコ、南アフリカの名前がないことに言及。「会議の冒頭では団結と連帯が謳われたが、肝となる最終文書の時点で、あれほど期待されていた国々が支持しなかった」と指摘した。
編集:Balz Rigendinger/ts、英語からの翻訳:宇田薫、校正:大野瑠衣子
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