スイスの大企業の株主のうち、国内投資家は4割未満であることが国際会計事務所アーネスト&ヤング(EY)外部リンクの調べで分かった。ドイツ語圏の日刊紙NZZ日曜版外部リンクが報じた。
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EYがスイスの大企業上位30社の株主の所有者を初めて調べた。2012年には株主の42%は国内投資家だったが、18年は39%と4割を切った。
NZZは伝統的な株主による民主主義が急速に崩れている金融機関の代表例として、スイスの大手銀行クレディ・スイスを挙げた。同行の株主は人数としてはスイス在住者が多く、9万9500人が経営に関する発言権を持つ。だが株式数でみると同行株の10%としか保有してないため、実際のスイス人の発言権はごくわずかだ。
一方で米ハリス・アソシエイツ、サウジアラビアのオラヤン・グループ、米ドッジ・アンド・コックス、英シルチェスターなどクレディ・スイスの株主上位7人が株式の35%を保有する。
報道によると、クレディ・スイスの株を持つ機関投資家の82%は外国人で、国内投資家は18%にとどまる。
グローバル投資家
金融業にとどまらず、国内の大半の大企業は国外の大機関投資家が勢力を拡大している。
調査を担当したEYのトビアス・マイヤー氏は「外国人投資家の株式保有割合が増えているのは、スイス経済の魅力や国際的なネットワークを裏付ける」と話す。
マイヤー氏はこれらの投資家が比較的安定して経営に参加しており、「部外者に売り飛ばされる」との懸念は無用だとみる。「むしろこうした株主は起業のリスクを負って経済全体に利益をもたらしている」
アングロサクソンの影響力
外国人投資家の経営参加は、スイスの企業文化にどのような変化を与えているのか。
スイスの年金基金約220本に投資するエトス投資財団のヴィンセント・カウフマン理事は、コーポレートガバナンス(企業統治)に対する米国および英国の影響は顕著だと話す。
例えば役員報酬問題がそれだ。「高額の役員報酬は国内の株主には批判的にみられる。我々は原則として1000万フラン(約11億円)を越える報酬は却下する」とカウフマン氏はNZZに明かした。
主要な外国人株主にとっては、報酬を決めるに当たりきちんとした手続きが守られていれば 、その額が高すぎるかどうかは二の次だ。
カウフマン氏の判断基準は科学的調査を根拠にしている。エール大学とバルセロナ大学による16年の共同調査によると、機関投資家の株式保有比率が高い企業ほど、役員報酬は高くなる。
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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