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1965年スイス生まれ。チューリヒで写真を学んだ後、1989年からフォトジャーナリストとして活動。1990年、スイス人カメラマンの代理店Lookat Photosを設立。世界報道写真財団(オランダ)の世界報道写真コンテストを2度受賞したほか、スイスの奨学金を多数獲得。その作品は多くの展覧会やコレクションで紹介されている。
Rolf Neeser(写真)&Thomas Kern(文)
バチカン公国を守るスイスの衛兵は、世界一有名な兵士だと言ってもいいだろう。500年以上前から伝統を引き継ぐ彼らの正装は、現代風とはかけ離れたデザインだ。だが少なくとも技術的には、時代の波に乗っている。何と最新の兜は3Dプリンターで製造されているのだ。
スイス衛兵の装備はスイスの隣国オーストリアで手作業で生産され、これまではヘルメットも同じだった。だが今、重さ約2キロもする鉄製兜の時代は終わりを迎えている。
衛兵が礼拝や式典の際に被る黒いヘルメットは今後、3Dプリンターで作られる。請け負うのはスイス中央部のシュタンス近郊にある3D印刷企業、「3d-prototyp外部リンク」。社長のマルクス・リシさんは、新ヘルメット作りに企画段階から関わった。
16世紀に作られたオリジナルをスキャンし、データをコンピューターに取り込む。最後に「印刷」して仕上げが完了するまで、新ヘルメット製造にかかる時間はわずか1日だ。
軽い着心地―そしてお値ごろ
こうして出来上がるのは重さわずか570グラム、UV防止、風通しの良いプラスチック製ヘルメットだ。高技術を駆使したヘルメットは決しておもちゃではなく、約900~1000フラン(約10万~11万円)もする高価な製品だ。それでも約130時間かけて鍛造されていた従来品に比べればずっと安い。
3Dプリンターのおかげで製造にかかる時間は6分の1になった。2019年は120個上のヘルメットが注文されている。資金は寄付を募った。私企業や個人のお金で作った防具というわけだ。
2019年2月22日にローマで開く記者会見で、スイス衛兵は98個のヘルメットをお披露目する。
バチカン公国の衛兵をスイス兵が務めるのは1506年以来の伝統だ。法王と公国住民をローマや旅先で護衛するのが任務。
現在の衛兵団には110人の男性が所属する。入隊時は30歳未満、スイス国籍で前科なし、独身でなければならず、ローマ・カトリック教信者でスイス軍の兵役を受けたことも条件。
ほこやり、剣、大太刀はシンボル的な防具に過ぎず、実戦に備えて現代的な武器も携える。現在の正装は1914年にデザインされた。
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