第32回 ローザンヌ国際バレエコンクール準決勝
バレエ界で最も「権威がある」と言われる国際コンクールの準決勝が31日、ローザンヌのボーリュ劇場で開催され、日本から1日の決勝戦に贄田萌さん(15)、井澤諒さん(17)、松井学郎さん(17)の3名が進出することに決まった。
25日からローザンヌで始まったバレエ国際コンクールはエントリーされた119名のうち第一次審査で残った24名が3曲の課題曲を披露して準決選への進出を競った。準決勝に挑んだ24名のうち、日本からの出場者は8名(女子5名、男子3名)だった。
準決勝の模様
準決勝出場者の女子14名、男子10名のうち残ったのは女子6人、男子7人と圧倒的に男性陣が健闘している。日本人審査員の新国立劇場バレエ団ミストレス、大原永子さんは「今年は候補者の間でそんなに差はなかったが、男性陣の方が出来が良かった」と語った。審査の基準について、同コンクールは対象年齢が15歳から17歳と低いため「今、できている完成度より将来の可能性を重視する」という。大原さんはその基準として「若くても個性があるか、舞台人としての存在感があるか、そしてプロポーションなどダンサーとしての素質も大事」だという。
今年の準決勝は審査員が公平に審査できるように配慮し、クラシック、コンテンポラリーの課題曲とフリー・ヴァリエーションの3曲を踊り、審査された。今年の傾向として特にフリー・ヴァリエーションにコンテンポラリーなダンスを選ぶ人が多かったようだ。
決勝進出者
13名の決勝進出者のうち6名〜7名がバレエ団に留学する「スカラシップ賞」と、プロのカンパニーに研修できる「プロ研修賞」を与えられ、加えて1万6千フラン(約135万円)の奨学金を貰える。他のコンクールと違う点は1等賞、2等賞を決めるというよりもプロとして出発する土台を造るのが目的。このため、準決勝で敗れた候補者も世界各地のバレエ学校やバレエ関係者と交流する場が設けられ、第1次審査で落とされた人が就職先を見つけたりすることもある。
今年の特徴は?
今年の候補者について、ジョン・ミーハン審査委員長(アメリカン・バレエシアター、スタジオカンパニー芸術監督)は記者会見で「今年は昨年同様レベルが高い」と語った。また、2年ぐらい前から同コンクールでは若いダンサーの拒食症などの問題を考慮して医療チェックなどを始め、「自分の体の管理もダンサーの責任」といった教育法を導入している。
スイス国際放送、ローザンヌ、 屋山明乃(ややまあけの)
‐1月31日に行われた準決勝に残った24人のうち、8名(女子5名、男性3名)が日本人だった。今年、準決勝に残った日本人は埼玉県の贄田萌さ(15)、札幌市の河村未来さん(15)、福岡県の大石恵子さん(15)、群馬県の鈴木礼奈さん(17)、東京都の小野綾子さん(17)、群馬県の井澤諒さん(15)、大阪市の上田尚弘さん(17)と東京都の松井学郎さん(17)だった。
‐1月31日の準決勝で選ばれた13名のうち、贄田萌さん(15)、井澤諒さん(17)、松井学郎さん(17)計3名の日本人が決勝戦に進出することになった。
‐2月1日の決勝戦はローザンヌ国際バレエコンクールの公式サイトから本番の3時間後にインターネットで観戦できる。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。