太陽放射は生命に必要な熱や光をもたらす。その強弱は太陽活動の周期によって変動するが、まだ正確には予測できない。世界放射センター(WRC)として世界準器を有するダボスの研究所は、複数の宇宙実験にも参加し、太陽物理学の更なる深化に貢献している。
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1904年、プロイセンの実業家カール・ドルノ氏は、娘が結核を患ったことをきっかけに、当時結核患者の保養地として知られていたダボスに移り住んだ。この土地で、化学者であり、気象観測を趣味にしていたドルノ氏は、気候が健康に与える影響を調べるための観測機器の開発に乗り出した。そして1907年、「ダボス物理気象観測所(PMOD)外部リンク」を設立した。
PMODは1970年代初頭から放射測器の国際的な校正拠点「世界放射センター(WRC)」の役割も担い、太陽放射測器の世界放射基準を管理している。5年に一度、世界中の放射測器が集まり精度を調整する「国際日射比較」も行われる。PMODで開発された放射測器は、宇宙を含む全世界の測候所で使用されている。例えば、欧州宇宙機関(ESA)の太陽探査機「ソーラー・オービター(Solar Orbiter)外部リンク」にはPMODの観測装置が2台搭載されている。
気候変動をより正確に予測するには、約11年周期で変動を繰り返す太陽活動の現象をよりよく理解する必要がある。太陽には非常に活発な活動周期もあれば、活動度がとても低い周期もある。なぜこのような違いが生じるのか?その機構を解明できれば、太陽フレア(太陽表面の大爆発)が起こる時期や規模の予測にも役立ち、それによって引き起こされ得るグリッド(送電網)やGPS(全地球測位システム)、通信システムなどの障害に備えられる。
「ダボスで科学を探る」シリーズ第4回。今回はPMOD/WRCを取材し、太陽放射と私たちの生活との関わりや、ソーラー・オービターの観測成果などについて、ルイーズ・ハラ所長に話を聞いた。
「ダボスで科学を探る」全6回は以下からご覧下さい。
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