連邦外国人委員会委員長、国籍取得簡易化を語る
スイスの外国人人口が総人口の20%を超えたという統計が発表されたばかりだが、今年いっぱいで連邦外国人委員会委員長の地位を去るローズマリー・シンメン委員長は、スイスの移民政策、特に国籍取得制度の簡易化の必要性について語った。
12月末、2年間の任期満了にともない連邦外国人委員会委員長を退職するシンメン委員長は、外国人のスイス国籍取得に関する問題はスイス社会の統合の最も重要な課題だと次のように語った。「私達と同じ生活をし、同じ言語を話しているのに、権利だけは同じように与えられていない。このように人間を分け隔てするのは過ちだ。国籍は我々から外国人へ一方的な贈り物ではない。彼等もこの国の、そして我々の社会の一部となることで多くの物を与えてくれる。居留外国人の国籍取得は、我々全ての利益となる。」。
連邦統計局の調査結果によると、スイス在住の外国人のうち約4分の1はスイス生まれの2世や3世で、またスイス生まれでない1世も約3分の1は在住15年以上の長期居留者だ。シンメン委員長は「スイスの国籍取得プロセスを簡易化しなければならない。2世の出生時でのスイス籍取得、長期居留者の国籍取得手続き簡易化および費用削減を断行するべきだ。」という。現行法では、外国人が国籍申請をする場合、12年以上の継続的居留が条件で、両親共に外国人の子供はスイスで生まれてもスイス国籍は与えられない。また、国籍取得費は自治体(市町村)によって違うが「給料の3ヵ月分」というところもある。
スイスの移民政策、特に国籍取得問題は、10年前と比べると少しずつではあるが改善されていると、シンメン委員長はいう。今、シンメン委員長は、外国人労働者に家族をスイスに連れて来る権利を認めるべきだと主張する。「いずれスイスで暮らすことになるなら、10代になってから来るよりも幼児期に来たほうが適応しやすいに決まっている。」とシンメン委員長。また、社会から無視されがちな外国人の女性の社会への統合を手助けする必要があるという。「外国人の子供達にとって、母親が社会から完全に孤立している姿を見るのは辛い。逆に女性が社会にとけ込めていたら、夫や子供と社会の架け橋になれる。」シンメン委員長は、今後も外国人女性の社会統合援助の仕事を続けて行くと語った。
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