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10個の「通過惑星」発見

チリにあるジュネーブ大学のエウラー望遠鏡

ジュネーブ大学のディディエ・ケロズ教授研究グループが10個の太陽系外「通過惑星 ( planet in transit ) 」を発見したと4月上旬発表した。

「通過惑星」とは、恒星の前を定期的に通過する惑星のことをいう。

 現在までに世界でおよそ270個の太陽系外惑星が発見されているが、そのうち半数はジュネーブ大学研究グループが発見した。また1995年世界で初めて太陽系外惑星を発見したのも同グループ。昨年は、地球に似た惑星を発見して話題をさらったが、今回は、惑星の大きさや、温度など詳細な性質が分かる「通過惑星」を発見した。

恒星の微妙な光の翳りから惑星発見

 南アとカナリア諸島にある、「スーパーワスプ ( Super WASP ) 」という数台のロボットカメラが多くの恒星の微妙な光の陰りを捕らえる。
「光に陰りがあれば、惑星がその恒星の前を通過した可能性がある。惑星を持つ可能性のあるこうした恒星を、さらにほかの望遠鏡を使って研究し、その結果過去6カ月で10個の通過惑星を発見した」
 と、ケロズ教授研究グループのミカエル・ジヨン博士は説明する。

 イギリスの諸大学が管理するスーパーワスプが捉えた、惑星を持つ可能性のある恒星をさらに観測するのは、チリにあるジュネーブ大学の「エウラー( Euler ) 」という望遠鏡。通過惑星は定期的に恒星を巡回するので観察しやすく、分光器などを使って、恒星そのものが放つ光を分析する結果、通過惑星の大きさ、温度などまで把握できるという。

ジュネーブ大学研究グループが惑星発見に従来使ってきた方法は、恒星と惑星間の重力によって引き起こされるドップラー効果により、恒星の光が異なることから分光器などから分析され、惑星の存在を発見。1つの惑星発見に何カ月もかかった。

今回のスーパーワスプで、まず恒星の光の陰りを見つけて、惑星を持つ恒星を発見し、その後分光器などで、研究を深める方法は、発見を早める効果がある。

通過惑星の多様性

「今回驚いたのは、これら10個の惑星が、非常に多様な性質を持っていることだ」
 とジヨン博士は説明。

 10個のうち、1番小さな惑星でさえ地球の160倍も大きく、1番大きな惑星は、地球より2650倍も大きい。

 また、同じく10個の惑星うち「ワスプ-12 ( WASP-12 ) 」は、恒星の周りを1.1日で回り、恒星に非常に近いため2300度の温度が予想され、今まで発見された惑星の中で1番高い温度環境を持っているという。( 太陽の温度は5700度 )

 ジュネーブ大学のケロズ教授研究グループは、今後発見された「通過惑星」の性質をさらに研究するとともに、新しい惑星を探す「プラネットハンター」の役も続けていくという。

swissinfo、ジェシカ・ダセイ、 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

太陽系外惑星とは、太陽系外で、恒星の周りを回る惑星。

現在まで、約270個が発見されている。

太陽系外惑星の大きさは、太陽系で1番大きい木星の0.5~8.3倍。

太陽系外惑星の第1号は、1995年にジュネーブ大学天文観測所のミッシェル・マイヨール教授とディディエ・ケロズ教授によって発見された。

地球に似た惑星も昨年、同大学の研究グループによって発見された。

ジュネーブ大学研究グループが惑星発見に従来使ってきた方法は、恒星と惑星間の重力によって引き起こされるドップラー効果により、恒星の光が異なることから分光器などを使って分析し、惑星の存在を発見。1つの惑星発見に何カ月もかかった。

今回のスーパーワスプで、まず恒星の光の陰りを見つけて、惑星を持つ恒星を発見し、その後分光器などで、研究を深める方法は発見を早め、いわば、従来とは逆のプロセスを取る。

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