スイスの若者たちは義務教育の終盤に重要な選択を迫られる。将来の職業に適した職業訓練を受けるか、大学進学を目指す普通高校に進むかを選ばなければならない。
このコンテンツが公開されたのは、
義務教育を終えた若者の約3分の2が職業訓練を、約3分の1が普通高校を選択する。後期中等教育(日本の高校に相当)の修了率は9割以上だ。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス人は14歳で職業を選択 早すぎる?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは若いうちに自分の職業人生について大きな決断をする。14歳は早すぎるか?それとも妥当か?意見は大きく分かれる。
もっと読む スイス人は14歳で職業を選択 早すぎる?
職業訓練
「デュアルシステム(二元制度)」と呼ばれるスイスの職業訓練では、研修先の企業で実習を受けながら、職業訓練学校で理論を学ぶ。2年後には連邦基礎訓練修了証明書(EBA/AFP)を、3~4年後には連邦能力取得証明書(EFZ/CFC)を取得できる。職業訓練によって労働市場に直接アクセスできるため、職業訓練を終えた若者の失業率は極めて低い。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの二兎追い職業訓練制度
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではかつて、子供は義務教育を終えた時点で職業訓練に進むか進学するかを選択しなければならなかった。今では事情は異なり、15歳で何を選択しようと、学業にも職業にも後から進路変更が可能だ。
もっと読む スイスの二兎追い職業訓練制度
デュアルシステムの利点は、進路をいつでも変更できることだ。職業訓練生には、技能を向上させるため追加授業を受ける、高等専門学校に進む、応用科学大学への職業系高等教育進学資格(職業マトゥーラ/職業マチュリテ)を取得する過程に進む、などの進路がある。
スイスは欧州連合(EU)や欧州自由貿易連合(EFTA)との協定に基づき、加盟国の若者を職業訓練生として受け入れている。ただし、研修先の企業で給与が支払われるため、職業訓練を希望する外国人は労働許可証を申請しなければならない。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの職業資格 国際的認知度の向上を模索
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの職業資格は同国の教育制度の1つの柱だが、国外の認知度は低い。しかし、スイスが職業教育に学士号・修士号を導入すれば、状況は変わるかもしれない。
もっと読む スイスの職業資格 国際的認知度の向上を模索
また、EU以外の13カ国と協定を結び、各国の若者がスイス企業で研修を受けられる制度も設けている。締結国は日本の他、南アフリカ、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、米国、モナコ、ニュージーランド、フィリピン、ロシア、チュニジア、ウクライナ。研修生の労働許可証は最大18カ月間有効だ。
普通高校
大学入学資格(マトゥーラ/マチュリテ)を取得できる学校は、ドイツ語圏では「ギムナジウム」、フランス語圏では州によって「ジムナズ」、「コレージュ」、「リセ」、イタリア語圏では「コレッジョ」と呼ばれる。通常4年間で一般教養に関する知識を深める。入学資格は州によって異なるが、義務教育の最後の数年で良い成績を収めるか、入学試験に合格するかしなければならない。大学入学資格を取得すると、大学や教員養成学校に入学できる。
一方、中等専門学校は3年間で、連邦が承認する分野の高等専門学校への入学資格が取得できる。職業系高等教育進学資格の取得も可能だ。
仏語からの翻訳:江藤真理
続きを読む
おすすめの記事
国際会議VPET 18 スイス式の職業訓練制度、各国で手本に
このコンテンツが公開されたのは、
シンガポール、アメリカ、モザンビーク。この3カ国で、職業訓練制度をめぐる状況は大きく異なっている。間もなくスイスで開催される専門職業教育訓練に関する重要な会議から、これらの国々は何を学ぼうと思っているのだろうか。
もっと読む 国際会議VPET 18 スイス式の職業訓練制度、各国で手本に
おすすめの記事
職業訓練生の中退問題、タブー破り議論本格化
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの誇る職業訓練制度。国全体で3分の2にあたる若者たちが、義務教育の終わりにこの見習い制度を選択する。しかし、職業訓練生の中退率についてはこれまでほとんど公表されてこなかった。連邦職業教育訓練機構がスイスで初の調査報告書をまとめ、その実情に迫った。
もっと読む 職業訓練生の中退問題、タブー破り議論本格化
おすすめの記事
スイスの教育現場に警鐘 急増するバーンアウト教師
このコンテンツが公開されたのは、
長時間勤務、終わりのない事務作業、対応の難しい生徒とその親。これらすべては教師がバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る原因だ。スイスのフランス語圏で行われた最新の調査で、教師の約40%がその危険にさらされていることが明らかになった。
もっと読む スイスの教育現場に警鐘 急増するバーンアウト教師
おすすめの記事
ジュネーブ州、義務教育を18歳に引き上げへ 中退予防で
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ州は、学生の学校・職業訓練校の中途退学を予防する策として、来年から義務教育期間を18歳まで引き上げると決めた。同州はスイスで退学率が最も高い州の一つ。
もっと読む ジュネーブ州、義務教育を18歳に引き上げへ 中退予防で
おすすめの記事
植木ばさみで世界征服するスイスのファミリー企業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス産業は、化学、時計、機械、精密機器や医療技術の分野のハイクラス製品に焦点を当て、活力を維持してきた。だが、隙間産業で世界のリーダーになった珍しい例も見逃せない。スイス西部・ヌーシャテルにある剪定(せんてい)ばさみ・切断工具メーカー、フェルコ社だ。
もっと読む 植木ばさみで世界征服するスイスのファミリー企業
おすすめの記事
ブートキャンプ式のプログラマー養成学校 スイスでスタート
このコンテンツが公開されたのは、
就職に役立つプログラミング技術がすぐに身につけられる、短期集中型のプログラマー養成学校がスイスで次々と誕生している。需要の高い仕事に就くための早道とされ、難民から転職希望者まであらゆる人たちを惹きつけている。
もっと読む ブートキャンプ式のプログラマー養成学校 スイスでスタート
おすすめの記事
男女格差指数、スイスは21位と下落
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF、本部ジュネーブ)が2日付で、各国の男女格差を測る2017年のジェンダーギャップ指数を公表した。スイスは144カ国中21位と前回より10位もランクダウンし、北欧諸国に遅れをとった。職場環境と教育の選択肢が低く評価されたことが下落の原因だった。
もっと読む 男女格差指数、スイスは21位と下落
おすすめの記事
ジュネーブで初の「マンガ科」専門大学がスタート
このコンテンツが公開されたのは、
スイス初のマンガ学科が先月、ジュネーブの専門大学でスタートした。キャンパスにジュネーブが選ばれたのは偶然ではない。「ジュネーブは近代的なマンガの生みの親、ロドルフ・テプフェールの故郷だ」と学科の設立に深く関わったジュネーブの漫画家、ティラボスコさんは言う。
もっと読む ジュネーブで初の「マンガ科」専門大学がスタート
おすすめの記事
世界一高いスイスの運転免許証 日本は2位
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの生活費が高いことは既によく知られているが、運転免許証もその例外ではない。取得費用はおよそ3800フラン(約43万8千円)で、世界一高い免許証とされる。
もっと読む 世界一高いスイスの運転免許証 日本は2位
おすすめの記事
外国人労働者、より高い資格の必要な職業に就く人が増加
このコンテンツが公開されたのは、
建設工事、工場作業、清掃、家事代行。スイスでは、高度な資格を必要としない低賃金の仕事を多くの移民が担ってきた。だがその様相も変わりつつある。近年では、スイスに移住する外国人で、学位や資格を持つ人が多くなっているためだ。
もっと読む 外国人労働者、より高い資格の必要な職業に就く人が増加
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。