クリスマスマーケットに行こう!
「今年のクリスマスプレゼントは何にしようか……」。北風が一段と冷たさを増す頃、人々は大切な人への贈り物に心を奪われ出す。
「大量生産ではない手作りの品が欲しい」。そんなときはクリスマスマーケットを訪ねてみるのも一案だ。
電車でチューリヒにやってくると、中央駅の構内に立つマーケットがまず目に止まる。屋根に雪を載せた山小屋風スタンドは全部で160軒。屋内マーケットとしてはヨーロッパ最大級の規模だ。食品から民芸品、おもちゃまでさまざまな品物が売られていて、ぶらぶらと見て歩くだけでも楽しい。
手作りの品を
しかし、クリスマスマーケットに行くのなら、わざわざ都会まで出る必要はない。クリスマス前には、どの町でも1日なり3日間なりのマーケットが立つ。チューリヒ市近郊在住の戸村由香さん ( 42 ) は、おもに地元の人でにぎわうそんなマーケットに、今年初めて出店した。
陶芸家の戸村さんは、普段展示会に出品している。だが、そこで出会うのは常に陶芸に興味がある人たち。
「陶芸好きだけではなく、それ以外の人にももっと作品を見てもらいたい」
そんな思いを胸に抱きながら、昨年、出店できそうなマーケットを探した。そして出会ったのが、ここチューリヒ市に隣接するツォリコン ( Zollikon ) のクリスマスマーケットだ。住んでいる町からはずいぶん離れているが、
「ここでは、まだ、手作りの品物がたくさん売られているんです。最近はどこでも大量生産の輸入品ばかりが目立ちますからね」
と話す。ふと隣のスタンドを見ると、そこにも手編みの服が並べられていた。
戸村さんのスタンドは広い講堂の中。そこにはテーブルや椅子が置かれ、レストランに様変わりしている。入ってくる人は飲食や休息が目的だ。作品を見て名刺を持っていく人もいるが、なかなか簡単には売れない。売ることの難しさをよく知っている戸村さんは、
「お金を払って買ってもらうのは、100の評価に勝る一番のほめ言葉」
と表現する。
見るだけでは物足りない
ツォリコンの高台を北東に下ると、眼下にフェランデン ( Fällanden ) の町が広がる。ここでは12月初旬のある金曜日、夕方から夜にかけてクリスマスマーケットが催された。手作りカード、ワッフル、特製ソーセージ・・・。赤ワインに香辛料を入れて煮た「グリューワイン」で体を温める人もいる。趣味で絵付けをしているイレーヌ・ブリさん ( 53 ) のスタンドは、そんな広場から少し離れた路地にあった。
クリスマスマーケットへの出店はこれで3度目。もともと各地の市場を見て歩くのが大好きだったというブリさんは、
「そのうちに見ているだけでは物足りなくなって、自分で絵付けをしたガラス製品などを売るようになったんです」
と話す。このフェランデンのマーケットを選んだ理由もやはり、「ここは手作りの品物を売るスタンドがほとんどだから」だ。
マーケットは始まったばかりで、まだ人出は少ない。しかし、ブリさんによると、そもそもマーケットに出かける人の数自体がかなり減ってきているのだそうだ。しかもこの日は強風に時々雨がぱらつき、天候もいまひとつ。ブリさんはタマネギのように何枚も洋服を重ね着しての完全防備だ。
「仕事をしながらの出店の準備、そして当日も寒い中に数時間、居続けるのは大変。でも、いろいろな出会いがあってすごく楽しいんです。来年はここのほかにもう1カ所出店を考えています」
話を聞いているうちに、だんだん人が増えてきた。ブリさんのスタンドの前で足を止める人も少なくない。家族連れや中高年のカップル、若者のグループなど、路上で挨拶を交わす姿も目に付く。陽はすっかり落ちたが、フェランデンのマーケットはこれからがたけなわだ。
swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )
11月23日~12月24日
月~金:11:00~21:00
土・日:10:00~20:00
ナイトショッピング
12月22日22時まで
マーケット最終日
12月24日16時まで
11月24日~12月20日
月~金:11:00~21:00
土・日:10:00~20:00
マーケット最終日
12月20日18時まで
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