クレディ・スイス(CS)が経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会(PUK/CEP)は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。連邦当局に落ち度はなかったが、あらゆる段階で欠点が蓄積されていた。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第2位の銀行だったCSの経営危機は、取締役会と経営陣に起因すると指摘した。スイス金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)による複数回の介入を受け入れようとしなかった。
おすすめの記事
おすすめの記事
ニュースレター登録
ニュースレターにご登録いただいた方に、スイスのメディアが報じた日本のニュースを毎週月曜日に無料でEメールでお届けします。スイスの視点でニュースを読んでみませんか?ぜひこちらからご登録ください。
もっと読む ニュースレター登録
報告書外部リンクは調査委の全会一致で採択された。連邦当局に不正行為があったとは認定しなかったが、決定の一部は時間がかかりすぎたと批判した。「危機管理から教訓を学ぶことが不可欠」だと強調した。
執行・立法措置ともに改善すべき点を列挙した。20の勧告を盛り込み、いくつかの介入策も提示した。
決断の遅れ
報告書によると、連邦政府・議会は「Too-big-to-fail(大きすぎて潰せない、TBTF)」規制を踏まえ、CSが「システム上重要な銀行」に分類されていること過度に重視した。期限は延長され、国際基準への順応は遅れた。特に緊急時に政府が資金を提供する「公的流動性バックストップ」制度の導入に関して、連邦政府の弱腰姿勢が目立った。
おすすめの記事
おすすめの記事
クレディ・スイス危機の責任は誰に? くすぶる当局批判
このコンテンツが公開されたのは、
スイス金融当局は先月、クレディ・スイスの買収に至る過程を検証する報告書をまとめた。不始末の責任は誰にあるのか?
もっと読む クレディ・スイス危機の責任は誰に? くすぶる当局批判
FINMAの監督も機能不全だった。警告は発したものの、CSのスキャンダルは収まらなかった。報告書は、当時のFINMAが事業に問題がないとのお墨付きを撤回しなかったと指摘。それどころか、株主資本に影響を及ぼす大胆な救済措置まで認めた。
情報不足
理由のひとつは、その後の対応に協調性がなかったことだ。 もし連邦内閣を含むすべての関係者に同水準の情報が共有されていれば、当局は2022年秋には信頼回復に向けた介入措置を取れたとした。
一方で報告書は、危機を終わらせるためのさまざまなシナリオを分析するために実施された予備作業を称賛した。 連邦当局は3月15日に起こった米国の銀行危機に対応し、19日にUBSによる買収が決まるまでの間、CSの支払い能力の維持に成功した。これにより、世界的な金融危機は回避された。
大きすぎて潰せない
「システム上重要な銀行」の破綻を防ぐために国が介入したのは、2018年のUBSに続き2度目だった。スイスには現在、「グローバルにシステム上重要な銀行」が1行しかない、と報告書は指摘した。
おすすめの記事
おすすめの記事
クレディ・スイス買収劇から1年 未解決の疑問点
このコンテンツが公開されたのは、
クレディ・スイス(CS)がライバル行UBSに売却され破綻を免れてから1年が経過した。2つの大銀行の合併作業はまだ進行中であり、いくつかの重要な疑問が未解決のままだ。
もっと読む クレディ・スイス買収劇から1年 未解決の疑問点
報告書は、TBTF法はスイス国内に焦点を当てすぎていると結論付けた。スイスを拠点として国際的に活動する「システム上重要な銀行」の清算・再編計画は、国際的な活動を考慮しなければならないと提言。 資本・流動性規制の緩和は避けるべきで、 現行の監査監督規制の見直しが必要だと忠告した。
英語からのDeepL翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
このコンテンツが公開されたのは、
ユングフラウ鉄道グループは、ユングフラウヨッホの2024年の来場者が105万8600人となり、2015年以来6度目の100万人の大台を超えたと発表した。
もっと読む ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
おすすめの記事
2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2024年の企業倒産件数が過去最高を記録した。
もっと読む 2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
おすすめの記事
国民投票に向けた署名がまたも偽造
このコンテンツが公開されたのは、
医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。
もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
おすすめの記事
スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
このコンテンツが公開されたのは、
1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。
もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
おすすめの記事
スイス、「若すぎる」子犬の輸入を禁止
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは来年2月1日から、生後15週未満の子犬の商業輸入を禁止する。安易なネット購入を抑止するのが狙い。
もっと読む スイス、「若すぎる」子犬の輸入を禁止
おすすめの記事
スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年
このコンテンツが公開されたのは、
スイス発祥で、今も国内のスキー場で使われているT字型リフトが23日、東部ダボスの地で誕生から90年を迎えた。発明直後から急速に普及したが、現在ではチェアリフトへの転換が進む。
もっと読む スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年
おすすめの記事
スイス、原発新設を解禁へ 政府対案まとまる
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は20日、原子力発電所の新設解禁を求めるイニシアチブ(国民発議)に応え、解禁を盛り込んだ対案をまとめた。
もっと読む スイス、原発新設を解禁へ 政府対案まとまる
おすすめの記事
スイス航空救助隊Rega、クリスマスの出動急増
このコンテンツが公開されたのは、
クリスマスを挟んだ12月24〜26日、スイス航空救助隊Regaの出動件数(国外向け含む)は前年比20%増の150件超に上った。
もっと読む スイス航空救助隊Rega、クリスマスの出動急増
おすすめの記事
スイスとEU、今後の二国間関係について合意
このコンテンツが公開されたのは、
スイスと欧州連合(EU)は20日、貿易や労働、人の移動自由などのルールを盛り込む二国間条約の締結に向けた交渉を完了したと発表した。
もっと読む スイスとEU、今後の二国間関係について合意
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
続きを読む
おすすめの記事
クレディ・スイス危機の責任の所在は明らかになるか? スイス議会調査委発足へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会はUBSによるクレディ・スイス買収に関し、議会調査委員会(PUK/CEP)を設置する方針だ。調査委はスイス議会の強力な監査手段で「伝家の宝刀」とされ、これまでに4回しか抜かれたことがない。
もっと読む クレディ・スイス危機の責任の所在は明らかになるか? スイス議会調査委発足へ
おすすめの記事
クレディ・スイス買収劇から1年 未解決の疑問点
このコンテンツが公開されたのは、
クレディ・スイス(CS)がライバル行UBSに売却され破綻を免れてから1年が経過した。2つの大銀行の合併作業はまだ進行中であり、いくつかの重要な疑問が未解決のままだ。
もっと読む クレディ・スイス買収劇から1年 未解決の疑問点
おすすめの記事
クレディ・スイス問題は「スイス政治の危機」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス金融街の人事情報からゴシップ、大スクープまで、さまざまな業界情報を掲載し銀行からも一目置かれている金融ブログ「インサイド・パラーデプラッツ」。運営人のルーカス・ヘーシッグ氏は、クレディ・スイスの危機は銀行だけではなく、スイスの政治や報道、文化にも問題があると考える。
もっと読む クレディ・スイス問題は「スイス政治の危機」
おすすめの記事
主役は国家ではなく銀行
このコンテンツが公開されたのは、
スイス経済政策研究所(IWP)フェローでシンクタンク・リベレシカの代表を務める経済学者アドリエル・ヨスト氏は、スイスの金融安定を確保する責任を負うのは、規制当局や立法府ではなく銀行自身だと強調する。
もっと読む 主役は国家ではなく銀行
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。