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スイス経済予測 若者の失業を問題視

政府は、若者の失業を大きな問題として取り上げ、雇用対策の必要性を訴えている。 Keystone Archive

連邦工科大学の経済研究所(KOF)は7日に発表したスイス景気予測で、05年のスイスの国内総生産(GDP)の実質成長率を1.6%と予測。前回の1.8%を下方修正した。EU諸国の景気の伸びが予想外に弱かったことなどが理由として挙げられた。

EU内の景気は年内には再び回復する兆しがあり、06年にはスイスの対EU向けの輸出も活発となるという。

同予測では、本年の平均失業者率は3.7%と04年より0.2ポイント下がると楽観的な予想がされた。連邦経済省経済管轄局(SECO)は一方で、若者の失業率は高く、深刻な問題として特別に取り上げている。3月の失業率は全体で3.9%だったが、20歳から24歳までの失業率は6.4%、25歳から29歳までは5.0%と際立って高い。                                         

06年には回復

 05年のGDP伸率は1.6%と昨年と同じ。下方修正の理由としてKOFは、EU諸国の景気が予想外に伸びなかったことから、スイスの輸出に影響が出ると見ているため。輸出の伸びは04年は+7.6%だったが、05年は+2.6%まで下がるという。

 とはいえ、輸出については、金利の低いスイスは他のEU諸国に対して依然として有利だ。連邦債の平均利回りは、05年は2.7%。フランも対ドル、対ユーロで安定した動きになると見込まれる。

 個人消費も堅調ながら、04年の1.3%から05年には1.1%と平均以下の伸びにとどまると予想。しかし、EU諸国の景気が05年には再び活発になるとの予想から、06年のGDP伸率は2.1%まで上昇するという。

若者の失業率

 SECOが同日発表した3月の失業統計では、スイス全体の3月の失業率は2月の4.1%から減少し、3.9%だった。州別で見ると、ジュネーブ州が7.5%、ヴォー州が5.7%など、相変わらずフランス語圏とイタリア語圏の失業率がドイツ語圏より高い。業種別では、ホテルレストラン業が10.4%、革製品関連と繊維業がそれぞれ9.1%から7.4%と逸脱して高い。

 また、引き続き若者の失業者が多いことも指摘され、経済省の最優先問題として上げ、その対策のための現状報告書も2月に発表された。04年の平均失業率は25歳以上49歳までが3.8%だったのに対し、15歳から24歳までの失業率は4.7%と高かった。若者が失業するのは、勉学や職業訓練が終わった後すぐに就職するのが難しいためで、現状報告書は、就学後の就職活動を国や自治体が支援する必要性を訴えている。不景気下で企業が人員削減を進めた場合、新雇用を控えることも若者には不利となる理由である。若者の雇用が回復するのは08年まで待たなければならないという。

 政府は本年、中小企業の中でも専門技術を必要とする企業に向けて、若者の雇用が企業にとっても経済的に有利であるという調査を示し、これをアピールをすることで雇用拡大を図る計画という

 これまで、質が高い職業教育がスイスの経済を支えてきたといわれる。若者の労働力を大切にし、スイスの経済が今後も堅調に保たれることが望まれる。

swissinfo 佐藤夕美(さとうゆうみ)

KOF 05年経済指標
GDP伸率 +1.6%
個人消費 +1.1%
輸出 +2.6%
輸入 +3.2%
インフレ率 +1.1%
失業率 +3.7%

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