トリンプ、ミャンマー工場閉鎖・撤退を決定
大手下着メーカーのトリンプ(本社スイス・アールガウ)は28日、ミャンマー工場の閉鎖・撤退を発表した。トリンプは国際労働機関やNGOなどから、ミャンマー工場で強制労働者を使役し軍事政権の人権侵害に加担しているとしてミャンマーからの撤退を要請され、トリンプ製品のボイコット運動などが展開されていた。
トリンプのミャンマー工場は1996年に操業開始し、1000人の従業員がアジア市場向け製品を製造している。国際労働機関(ILO)は1年前、各国政府、企業、労働組合に対し、ミャンマー軍事政権が強制労働、拷問などの人権侵害を日常的に行っているとして対ミャンマー経済制裁の実施を要請した。また、スイスのベルン・デクラレーションとクリーンクローズ・キャンペーン、英国のビルマ・キャンペーンUKなどのNGOは、トリンプのミャンマー撤退を条件にトリンプ製品のボイコットを消費者や小売店に呼び掛ける運動を展開してきた。
このような国際的な圧力と抗議行動を受け、スイスのトリンプ本社は22日、ミャンマー工場の閉鎖とミャンマーからの撤退を発表した。アロイス・ヒルゼル同社スポークスマンは、ミャンマー撤退は同国の人権問題に関する社会的な圧力への対応であり、特に欧州のNGOの抗議行動激化がミャンマー問題再検討の大きな一因だったとswissinfoに語った。
トリンプ社の発表を各NGOは歓迎している。スイス労働組合連合のコレッテ・ノヴァさんは「国際労働組合運動とクリーンクローズ・キャンペーンの勝利」とswissinfoに喜びを表明した。
トリンプのミャンマー工場閉鎖の結果、1000人の現地従業員は解雇されることになる。トリンプは現地従業員の雇用を守ろうと、関心を示した企業などと数カ月に渡って交渉したが、買い手を見つけることはできず、工場閉鎖を決めた。そのため、トリンプでは、製造を徐々に減らし、徐々に人員を減らしながら解雇される従業員救済のための社会保障を進めていくとしている。「我々はできるだけ多くのミャンマーの従業員を守りたいが、不可能であることを認識せざるを得ない。」とヒルゼル・スポークスマンはswissinfoに述べた。
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