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ボキューズ・ドー・ヨーロッパの1位はデンマーク

参加国の有名なシェフたち20人が審査員を務めた。このグループは肉料理だけを食べ点数を付けた swissinfo.ch

ヨーロッパ20カ国から料理のトップシェフたちがジュネーブに集まり、6月7日、8日と腕を競った。

これは「ボキューズ・ドー・ヨーロッパ」のコンクールで、1位のトロフィーはデンマークのラスムス・コフェド氏の手に渡った。コフェド氏は、2年ごとにフランスのリヨンで開催される「ボキューズ・ドー世界大会」にも参加できる。

北欧の強さ

 料理の世界で最高格といわれる、ポール・ボキューズ氏が創立したコンクール「ボキューズ・ドー ( Bocuse d’Or ) 」では、世界のトップレベルのシェフが20年来腕を競ってきた。しかし参加者が増え続け、ヨーロッパ、アジア、アメリカで予選を行うことになった。今回ジュネーブでの「ボキューズ・ドー・ヨーロッパ ( Bocuse d’Or Europe ) 」はヨーロッパでの第2回大会だ。ここではヨーロッパチャンピオンを決めると同時に、12人を来年のリヨン世界大会に送り込む予選を行った。

 「とにかくうれしい。良い雰囲気の中で全力が発揮できた。魚、肉料理とも満足のいくできだった。長年の努力が報われた」
 と35歳のコフェド氏は喜びを表現した。デンマークは2年前の第1回大会でも2位の座を獲得しており、その強さの秘訣を「多くの優れたシェフがいる、世界一のレストランもあり、また特に新鮮な産物が豊富にあるからだ」と語った。今回コフェド氏が使った野菜はすべて有機栽培のもの。素材には特別注意を払っているという。

 また2位も、前回1位だったノルウェーが獲得。こうした北欧の成功を、今回ゲスト審査員を務めるスイス人フレディ・ジラルデ氏は
 「この二つの国は、国中を上げて料理をサポートしている。このコンクールにも1年前から準備して臨んでいる。スポンサーも多く、さまざまなコンクールに慣れている」
 と話し、今大会でもこの2カ国はほかの国より群を抜いており、誰もが納得した受賞だったと語った。20世紀最高のシェフの1人といわれるジュラルデ氏は、3位のフランスについては、肉料理で非常に難しいテクニックに挑戦したのが評価されたのだと思うが、魚料理はもう一つだったとコメントした。

 ヴォー州のレストラン「フィリップ・ロッシャ ( Philippe Rochat ) 」で働く、期待の星、スイスのフランク・ジョヴァニーニ氏は惜しくも7位。しかし来年のリヨン大会への切符は手にした。
 「観客に見守られるボックスの中という特殊な環境での仕事だったが、日頃の実力が出せたと思った。ただ魚はうまくいかなかった。もう何十回とこの魚 ( オヒョウ ) を料理し、慣れていたはずなのに、なぜか今回は身が締まらずぼろぼろと崩れ、うまく形にならなかった。理由は分からない」
 と悔やんだ。

同じ材料で挑戦

 1000人を超す観客の、国旗がはためきラッパが鳴り響くサッカー試合のような声援に囲まれ2日間、それぞれ10人のシェフが10個のボックス型のキッチンに入り、魚と肉を料理した。魚は、5,6キログラムはあるノルウェー産のカレイ科オヒョウ。肉は3.5キログラムのヴォー州アルプスの子牛肉だ。全員がこの同じ材料を使うが、添える野菜は各自が持ち込める。

 国内のコンクールを勝ち抜いてきた若いシェフたちは1人だけ助手を連れてくるが、当日主催側が選んだ若い見習いがもう1人付く。この初めて出会う助手を上手に使う技量も問われる。というのも、コンクールは5時間35分の時間内で審査員20人分の量を大型の器に盛り付けなくてはならず、1分も無駄にできないハードな作業だからだ。

 最終的に出来上がった10皿の魚料理が10人の審査員に、10皿の肉料理がほかの10人の審査員の前に運ばれる。

 審査員たちはまず料理の匂いを嗅ぎ、四方から眺めた後口に入れる。料理の採点は、盛り付けが20点満点、味が40点満点だ。
 「ただ、味といっても肉や魚の焼き具合と質感が含まれる。ところが特に魚の場合、多くが焼き過ぎだった。2カ国を除いて魚は優れた国がなかった。しかし、盛り付けは、現代的で目を引くものが多かった」
 と、スイスの代表審査委員ジェラール・ラベ氏はコメントした。

若者を育てる

 ところで、今回スイスでの開催を
 「ホスト国に選ばれたのはスイスの料理レベルが高いからだ。またこうした大会は若い料理人にとっては大切で、職業的競争心を駆り立てるまたとない機会になった」
 と同大会のプレジデント、フィリップ・ロッシャ氏は、若い料理人の育成という観点から、同大会開催を高く評価した。

 実際、2日間にわたりルツェルン、フリブール、モントルー、ジュネーブ市などのホテル学校から数千人の生徒が集まり、会場の手伝いを始め観客として声援を送った。1人の生徒は
「刺激になった。料理への集中力や盛り付け方など多くを学べた。来て良かった」
 と話した。

 また、最終日の授賞式には、今年85歳のポール・ボキューズ氏がリヨンから駆け付け、スイス大会のオーガナイズの良さを褒め、受賞者を祝福した。

里信邦子( さとのぶ くにこ) 、swissinfo.ch

2010 年度第2回大会はスイスがホスト国で、ジュネーブのパレエクスポ ( Palexpo ) で6月7日、8日に開催された。
参加国はヨーロッパ20カ国。国内戦で勝ち残った若いシェフが20人とその助手20人が集まり腕を競った。また20カ国からすでに地位を築いたシェフ20人が審査員として参加した。

1位はデンマークのラスムス・コフェド ( Rasmus Kofeod ) 氏、2位はノルウェーのグナー・ハヴァルネス氏、3位はフランスのジェローム・ジェグレ氏 。

以上の3人に加え、2011年1月のリヨン世界大会に出席できる12人は、以下の9カ国のシェフたち。
イギリス、スウェーデン、フィンランド、スイス、アイスランド、スペイン、オランダ、ドイツ、ポーランド。

なお、リヨン世界大会には、ヨーロッパからの以上の12カ国に加え、ボキューズ・ドー のアジア大会から4カ国、アメリカ大陸大会から3カ国、個人的参加の大会から5カ国が参加する。

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