経済成長の見通しを下方修正
連邦経済省経済管轄局およびチューリヒ連邦工科大学景気研究所は6月23日、金融危機によって景気回復にかけられているブレーキはこれまでの予測よりも長引くと発表した。
スイス国内の経済成長予想は下方修正されたものの、大きな不景気に陥ることはないと見込まれている。経済成長の牽引力となるのは依然として個人消費だ。
成長にブレーキ、雇用は成長
経済管轄局 ( seco ) の発表によると、2008年の実質国内総生産 ( GDP ) はこれまでどおり1.9%の成長と変わらないが、2009年は1.5%から1.3%に下方修正された。チーフエコノミストのアイモ・ブルネッティ氏はその理由として、アメリカの景気回復が鈍いこと、スイスで外国貿易に対する刺激が不足していること、そして金融危機の影響が明らかに残っていることなどを挙げた。
スイス経済における金融セクターの占める割合は高い。そのため、金融市場の動きは大きな不安の材料と見られている。
「金融市場が長期的な回復を見せない限り、景気にマイナスの影響を与える心配は非常に大きい」
とブルネッティ氏は懸念する。
輸出の減速も予測されているが、国内需要は比較的堅固に保たれる見込みだ。GDPの牽引力として個人消費はほかの要素を大きく引き離しており、当分落ち込む心配はないと見られている。2008年と2009年の成長率はそれぞれ1.9%と1.6%との予測。
このような確実な期待の根底にあるのは労働市場の発展状況だ。2008年の雇用率はこれまでに加えてさらにプラス2%の成長、一方の失業率は今年2.5%に下がり、来年も2.6%にとどまると予測されている。
2008年のインフレ予測は1.7%から2.5%に上昇、しかし2009年は再び1.3%に下がる。
「景気の冷却と統計の示す効果が物価上昇にブレーキをかけるため」
とブルネッティ氏。
チューリヒ連邦工科大学 ( ETHZ ) 景気研究所 ( KOF ) も同様に、2008年と2009年のGDPの予測をそれぞれ2.0%および1.8%と下方修正した。主な理由は石油価格の予想外の上昇だ。これに商品やサービス、家賃の値上がりが拍車をかけ、物価上昇率が3%を超える月も出てくると推測している。
2008年と2009年の平均物価上昇率はそれぞれ2.6%および1.4%。しかし、個人消費の成長率が2.2%および1.8%と大きいため、国内景気が大きく後退することはないという。労働市場では、雇用成長率が今年の2.1%から来年は0.6%に大きく後退する見込み。しかし、同時に失業率も平均2.5%および2.4%に下がると推測されている。
swissinfo、外電
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