脚光を浴びる「バーゼルワールド」の高級品
4月3日から10日まで、バーゼル市では毎年恒例の国際時計宝飾見本市「バーゼルワールド ( Baselworld ) 」が開催される。
だが、スイスの時計製造業は過去数年間、次から次へと大きな問題に襲われた。アメリカのサブプライムローン問題が世界に与えた影響もその1つだ。
複雑な問題
2008年は「魅惑の年」になるとバーゼルワールドの関係者は言う。だが、展示委員会のジャック・デュシェンヌ会長は見本市の終了後が気になる。
「客観的かつ実利的であり続けないとなりません。時計産業もいつ弱体化するか分からないのですから。景気後退か否かと、常に自問する必要があります」
スイスの時計製造業が今年初めの2カ月間で収めた業績は頼もしい。デュシェンヌ会長によると、輸出額は昨年同時期より20.6%増の25億4000万フラン ( 約2540億円 ) に上る。
しかし、世界に波及するクレジット危機はまだ峠を越えておらず、これからまだ複雑に絡み合った問題が発生するかもしれない。
「状況は、供給者側にとっても顧客にとっても厳しいものになるかもしれません。ビジネスが広がって投資拡大を求める姿勢は強まるばかりですが、一方では経済の危機的状況に対して何もできないのが実情です」
偽造品問題も大きく影を落とす。1月にはスイス時計協会 ( FH ) がメキシコシティで取締りを行い、9万個を超えるスイス製の偽時計を押収した。
「警察は同時に武器や麻薬も差し押さえています。このことでも、犯罪組織が直接、偽造品を大規模に製造していることが明らかです」
とデュシェンヌ氏。
インターネットと偽造品
また、インターネットと偽造品売買の関係も見過ごせない。デュシェンヌ氏によると、サイト売買は年間およそ30%成長しており、偽造品のサイト売買も同じような発展をしているという。
スイス時計協会は昨年、複数のプラットフォームから3万5000件の広告を排除した。しかし、偽造品販売だけを行っているウェブサイトの中で、協会の要請による裁判所命令に従って実際にサイトを閉鎖したのはわずか3割に過ぎない。
「インターネットでは匿名の売買が可能なため、犯人の断定が困難です。ですから、プロバイダーやドメイン管理、ブログオペレーターなど、技術面の関係者にかかる責任も重大なのです」
swissinfo、ロバート・ブルークス バーゼルにて 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳
4月3日から10日まで開催される見本市では、45カ国から2087の出展者が最新作を展示する。
出展される時計ブランドの数は353、宝飾ブランドは544。
スイスは458の出展者を数え ( 全体の21.9% ) 、5万3900平方メートルを使用 ( 会場全体の46.4% ) 。
2007年のスイス製時計およびムーブメント輸出額はおよそ160億フラン ( 約1兆6000億円 ) で、前年比16.2%の増加。
当見本市へはおよそ10万人の入場客と2500人のジャーナリストが見込まれている。
4月7日から12日まで、ジュネーブで国際高級時計サロン ( S.I.H.H. ) が開催される。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。