氷河が削ったくぼ地にできる湖、氷河湖。夏に氷河が溶け水量が増えると、洪水となって谷の住民に危険をもたらす。洪水リスクを回避するために、氷河の表面に溝を掘る予防策が施された。
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ベルン州とヴァレー(ヴァリス)州にまたがって広がるプライーネ・モルテ氷河には、とけだした水が溜まり氷河湖がいくつかできる。その融解水は盛夏になると一気に流れ出し、谷に重大な被害をもたらす恐れがある。
近辺のジンメンタール渓谷では昨年、ファヴェルジュ湖からあふれ出した融解水で洪水が起こった。キャンプ場とレストランが被害を受け、約100人が避難所で一晩を過ごした。
再発防止に向け、当局は緊急措置を講じた。氷河の真ん中に1.3キロメートルに及ぶ溝を掘り、水が一定の高さに達すると、自動的にそこへ排水されるようにした。
この措置により融解水は溝と氷河の小さなトンネル状の穴を通るため、排水システムが再びうまく作用するようになる。融解水はもともと、氷壁を通り氷河甌穴(おうけつ)へと落ちるとされている。対策費用には200万フラン(約2億円)かかった。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
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