毎年4月の最後の水曜日、スイスの首都ベルンの連邦議事堂前広場(ブンデスプラッツ)は巨大な庭園となり、400種以上の野生植物や150種の野菜・果物の苗木が展示される。それらは全てスイス産だ。
このコンテンツが公開されたのは、
4月24日水曜日、朝6時過ぎ。自然保護の非営利団体や植物園、庭主、庭師がブースの設営にとりかかる。さまざまな野生植物や果物、香辛料、花、野生動物の標本を展示。マーケットを主催するのは有機・自然農法を推進する団体「ビオ・テラ外部リンク」だ。
工業化や住宅化、農業生産の集約化によって自然が少なくなり、多くの動植物が姿を消した。マーケットは生物多様性や人類の未来に対する人々の意識啓発を目的に開催される。全ての植物や昆虫は食物連鎖の一部として生態系で重要な役割を果たしている。
昨今は野生のハチが絶滅の危機に瀕している。ヒトの食べる蜂蜜を作るわけではないが、生態系のバランスで大きな位置を占めている。野生のハチのブースでは、野の花の6割は野生のハチによって受粉が成り立つ。
ある庭師は、全ての生き物は直接・間接的に生態系や食物連鎖に関わっていると話す。「生態系のバランスの多くは未解明だ。昆虫がいなければ鳥は栄養不足になり、鳥がいなければ鳥を食べる動物が危機に陥る。こうした連鎖によって、いずれ人間の生活に影響を与える。いつしかヒトは自然に害を与えた罰を受けるだろう」
だからこそ、生物多様性を尊重し、生態系のバランスを維持していくことは人類の未来にとって重要だ。
スイス公共放送では現在、生物多様性をテーマに多くの番組を放送している。
(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)
続きを読む
おすすめの記事
組織化進む野生動植物の密輸 スイスの専門家が警告
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのジュネーブで現在、ワシントン条約第18回締約国会議が開催中だ。低リスクで高収益が得られるとして犯罪組織による野生動植物の密猟と違法取引が横行していることから、スイス代表団は密輸に対する刑罰の強化を求めた。
もっと読む 組織化進む野生動植物の密輸 スイスの専門家が警告
おすすめの記事
消え行く虫たちを守れ!
このコンテンツが公開されたのは、
虫は、近くにいると疎まれる存在だが、自然界では重要な役割を果たしている。そんな虫が今、激減している。絶滅に瀕するこの小さな生き物を守るために、何ができるだろう?昨年11月15日を「虫の日」に定めたスイス。政治介入を求める自然保護団体の動きも出ている。
もっと読む 消え行く虫たちを守れ!
おすすめの記事
政治に関心を向ける「グレタ世代」の若者たち
このコンテンツが公開されたのは、
若者は全般的に政治に「無関心」だ。しかし空気が変わりつつある。スイス13の都市で今年2月、4万人弱の市民が早急な温暖化対策を求めてデモを行い、大勢の若者が参加したのだ。実際のところ、若者の政治参加はそれ以前から目立ち始めている。
もっと読む 政治に関心を向ける「グレタ世代」の若者たち
おすすめの記事
気候保護を憲法に明記 国民投票に向け署名活動へ
このコンテンツが公開されたのは、
気候の保護をスイス連邦憲法に明記し、温室効果ガスを2050年までに激減させることを求めたイニシアチブ(国民発議)がスイス連邦内閣事務局に受理された。国民投票を実現するためには、来年10月30日までに最低10万人分の署名を集める必要がある。
もっと読む 気候保護を憲法に明記 国民投票に向け署名活動へ
おすすめの記事
種の保存を目指すオーガニック農場
このコンテンツが公開されたのは、
毛むくじゃらのブタ「マンガリッツァ」やスイス在来種の「レーティシュ灰色牛」、蜜入りの「ハニーアップル」や「シェザール・プルーン」。今日ではあまり聞かれなくなった動物や果物の名前だ。だが、オーガニック農場「フェルム・デ・ソンス」では、そういった珍しい品種の動物や果物を見つけることができる。
もっと読む 種の保存を目指すオーガニック農場
おすすめの記事
食品ロスを減らせ 最前線で闘うスイスのスタートアップ
このコンテンツが公開されたのは、
ヴォー州のスタートアップ、アグロサステインとその創業者オルガ・ドゥヴェイさんは、化学農薬を使わず、国際特許を取得した自然な防除法で、これら病原性カビへの対策を図る。
もっと読む 食品ロスを減らせ 最前線で闘うスイスのスタートアップ
おすすめの記事
絶滅危惧の鳥類 スイスのレッドリストは世界の3倍
このコンテンツが公開されたのは、
国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」は23日、鳥類の絶滅危惧種に関する統計を発表した。世界では8種に1種が絶滅危惧種であるのに対し、スイスでは絶滅危惧種の割合が他国に比べて3倍も高いことが分かった。
もっと読む 絶滅危惧の鳥類 スイスのレッドリストは世界の3倍
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。