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雪崩のリスク、危険レベルの細分化でより分かり易く

スイス全土では昨年末から今年初頭にかけ、記録的な高温が続いていた。リゾート地はどこも雪不足に悩んでいたが、ここ数日間でスイスアルプスの大部分で積雪があった。特に標高の高い場所では大雪が降り、今度は雪崩の危険性が高まっている。連邦雪・雪崩研究所(SLF)は、今シーズンから雪崩速報の内容を刷新。山の危険レベルをより正確に把握できるようになった。

「中型の雪崩が発生する可能性があります。日中、気温の上昇とともに、局所的には大型の雪崩のリスクが高まる傾向にあります。たった1人のスキーヤーが危険度の高い大型の雪崩を引き起こす可能性もあります」。15日の夜、ダボスの連邦雪・雪崩研究所(SLF)外部リンクが出した雪崩速報が伝えたいメッセージは明らかだ。

SLFが発表したスイスの雪崩ハザードマップには、オレンジ色の区域が大きく広がる。これはスイスアルプスの雪崩の危険度が「かなり高い」ことを示す。

ダボスの連邦雪・雪崩研究所(SLF)の雪崩速報
ダボスの連邦雪・雪崩研究所(SLF)が発表した1月15日付の雪崩速報 SLF

山で起こりうる危険レベルを示すために、SLFは欧州で標準化された5段階の雪崩危険度区分外部リンクを使用している。今シーズンからは更に、この5段階にそれぞれ3区分を追加した評価方法を導入外部リンクし、より正確にリスクを把握できるようになった。

1段階(低い)~5段階(非常に高い)のうち、15日の速報は危険度が「3=」だった。

では、「3=」とは具体的に何を意味するのだろう。

雪崩のリスクを細分化したSLFの新しい危険度区分
雪崩のリスクを細分化したSLFの新しい危険度区分 SLF

SLFによると、現在の5段階評価に変更はないが、予測される危険度レベルに応じ、各段階が新たに「低(-)」「中(=)」「高(+)」の3区分に細分化された。天候や雪の状態によって変動するリスクをより正確に反映できるようになったという。

1945年以来、ダボスの連邦雪・雪崩研究所(SLF)は1日2回、雪崩速報を発表している。データの収集は、雪崩監視員200人とスイスアルプス各地に設置された自動計測器170基で行う。この情報は、スイス全国の警察や各州、自治体、山岳リゾート地、救助隊、その他関係者らが共有・利用する。

アルプス山岳地に出かける人は、雪や雪崩の危険性について、事前に旅行会社や地元の観光局で確認することをお勧めする。雪崩や気象に関する最新情報は、連邦雪・雪崩研究所(SLF)外部リンク独語圏のスイス公共放送(SRF)のSRF Meteo外部リンクスイス気象台(メテオ・スイス)外部リンクで確認できる。

以前から、雪崩予報士からは雪崩のリスクをより正確に把握したいという要望があった。今回の評価方法は、その要望に応えるために作成されたという。

ヴァレー(ヴァリス)州のSLFシオン支部で雪崩防止対策を担当するピエール・ユグナン氏は、「この新区分は、スイスが初めて導入した」と話す。

大雪の後に危険度3+が出た場合、「数日たって雪が安定すると3=に、やがて3-に推移する。その変化を比較的明確に市民に示せる」と説明する。

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この細かい区分は、特にレベル3で重要になってくる。レベル3以上は、整備されていない雪面(オフピステ)でのリスクが上昇するからだ。冬期のスイスアルプスでは、3日に1度はレベル3が観測される。雪崩による年間死者事故の半数も、このレベル時に発生している。

ユグナン氏は「レベル3にも、これだけの幅がある」と示しながら、「レベルが上がればそれだけ、雪崩の危険性も高くなる」と話す。

スイスでは過去20年、外部リンク人が巻き込まれる雪崩が年平均100件報告された。雪崩による死亡者数は年間平均23人。犠牲者の9割以上は、コースを離れた山間部でスキーやスノーボード、スキーやスノーシューを使ったバックカントリースキーをしていた人たちだ。一方、管理区域(道路、鉄道、居住区、安全なスキー場)における犠牲者数は減少している。1940年代末は15年平均で15人だったが、2010年は1人未満だった。建物が雪崩に飲み込まれた結果生じた死亡事故は、1999年を最後に起きていない。

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スキー客への影響

雪の専門家ロベルト・ボロネーシ氏は「スキー客にとって、この(新しい)危険区分は、とてもためになる情報だ」と仏語圏のスイス公共放送(RTS)に語る。「リスク3が出ていたら、よく考えて行き先を決めるべきだ。整備されたゲレンデも離れるべきではない」

スイスでは、オフピステでスキーをしても違法ではない。スキー場もオフピステゾーンも公有地として開放されている。しかし警告標識を無視するといった無謀な行動をとり、管理されたゲレンデに雪崩を引き起こした場合、たとえ被害者が出なくてもそのスキーヤーは起訴される可能性がある。

特に生き埋めなどの被害者が出た場合は、法的な責任を問われる可能性がある、とボロネーシ氏は指摘。「将来、裁判官が判決を下す際、この新しい雪崩の危険度区分を考慮することも十分に考えられる」とした。

英語からの翻訳:シュミット一恵

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