オサマ・ビンラディン容疑者を殺害
バラク・オバマ米大統領はアメリカ時間の5月1日夕刻、国際テロ組織アルカイダを指揮してきたオサマ・ビンラディン容疑者を殺害したと発表した。
これを受け、スイスのミシュリン・カルミ・レ大統領は5 月2日、「アルカイダが実質的に崩壊するというニュースは歓迎すべきものだ」と述べた。
スイスはテロ行為を強く糾弾
パキスタンの首都イスラマバードから、約56キロメートル北のアボタバードの邸宅に居住していたビンラディン容疑者は、息子1人とほかの大人2人と共にヘリコプターでの襲撃により殺害されたという。
オバマ米大統領は演説の中で、ホワイトハウスに来て以来、ビンラディン容疑者の逮捕ないし殺害はテロ撲滅の主要な課題の一つだったと述べた。
公式発表の前に、ホワイトハウス指導部が非公式に流したビンラディン殺害のニュースは密かに、しかし急速に国民に伝わり、オバマ米大統領の演説には数千人の人々がホワイトハウスに集まり、お祭り騒ぎとなった。
一方、このニュースを受けスイスのカルミ・レ大統領は、「アルカイダがビンラディンの死によって、実質的に崩壊するというニュースは歓迎すべきものだ」と述べ、
「ビンラディンとその組織アルカイダは、野蛮な無差別テロの首謀者で、何千人もの人々の命を奪った」
と続けた。
さらに、
「中央アジアから中東、アフリカ北部に広がる国際テロ組織の行動と組織そのものに終止符を打つ今回の行動をスイスは称賛する。なぜならスイスはテロ行為を強く糾弾するからだ」
と表明。アルカイダのテロによる犠牲者とその家族に深い追悼の念を伝えたいと付け加えた。
テロ増加の懸念
しかし、「ビンラディンの死はテロリストを刺激しテロ行為をさらに増加させかねない」と話すのは、スイス政府の連邦内務省秘密情報機関 ( NDB /SRC ) の局長、マルクス・サイラー氏だ。こうしたテロの激化はアメリカ政府も懸念している。
サイラー氏によれば、アルカイダの首謀者が亡くなっても、イスラム原理主義者によるテロ行為はそう簡単に無くならないからだ。「アルカイダの存続は、誰が後継者になるかにかかっている」とサイラー氏は5月2日の記者会見で強調した。
確かに、このところアフガニスタン、パキスタンのテロ組織首脳部は力を弱めてきている。しかし一方で、アラビア半島、北アフリカのレジスタンスグループは勢力を維持しており、アルカイダの新しい指導者の力如何によって、これら組織の動向が左右されるからだ。
外電
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