スイス女性閣僚の歴史

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エリザベート・コップ氏（急進民主党／チューリヒ）は1984年、スイス史上初の女性閣僚に選ばれた。だが1989年、電話で夫に資金洗浄の内部情報を漏らしたことでメディア批判を受け失脚。のちの連邦裁判所裁判では、公職秘密漏えいの訴えに対して無罪判決が下った Keystone

2人目の女性閣僚、ルート・ドライフス氏（社会民主党／ジュネーブ）は1994～2002年、連邦内務省を司った。初のユダヤ人女性閣僚で、輪番制の大統領を務めた女性も初めてだった。 Keystone

3人目のルート・メツラー氏（キリスト教民主党／アッペンツェル・インナーローデン）は1999～2003年に閣僚を務めた。保守系のキリスト教民主党会派に属しながら、妊娠中絶に関してはリベラルな解決策を主張し、出産保険をめぐってはルート・ドライフス氏の支持に回った。法曹出身のメツラー氏が入閣したのは35歳と、スイス史上2番目に若い閣僚だった Keystone

エヴリン・ヴィドマー・シュルンプフ氏（人民民主党／グラウビュンデン）は2008年、国民党のクリストフ・ブロッハー氏を閣僚から追い落とすべく立候補し当確。その勢いに乗り、取り巻きとともにブルジョワ政党の人民民主党を結成した Keystone

2003～11年に閣僚を務めたミシェリン・カルミ・レ氏（社会民主党／ジュネーブ）は「能動的中立」と「開かれた外交」をキャッチフレーズに、スイス外交の透明性向上に尽力した。最大の功績はリビアの独裁者ムアンマル・カダフィ大佐に拉致されたスイス人人質2人の解放だ。その攻撃的な外交政策は特に右派ブルジョア勢力から批判された。 Keystone

2006～18年に2人目のキリスト教民主党（現中央党）として閣僚を務めたドリス・ロイトハルト氏は、まず経済省、後に環境・交通・エネルギー省を担当。福島第一原子力発電所事故を受けたスイスのエネルギー政策の転換を導いた Keystone

シモネッタ・ソマルーガ氏（社会民主党／ベルン）が閣僚に就いたのは2010年。その後14カ月間、スイス連邦内閣は女性が多数派を占めた Keystone

ヴィオラ・アムヘルト氏（中央党／ヴァリス）は2018年、ドリス・ロイトハルト氏の後任として閣僚に選出された。下院議員としては13年のキャリアがあり、交通・司法委員会での経験が長い。口数は少ないが良心的な政治家として評される。社会政策については中央党（旧キリスト教民主党）の中でも社会派色が強い Keystone

カリン・ケラー・ズッター氏（急進民主党／ザンクト・ガレン）は2018年、ヨハン・シュナイダー・アマン氏の後任として閣僚に選出された。会議通訳者だったズッター氏は対移民強硬派で知られてきたが、今は上院きっての経済・社会政策通で柔軟さも備えている。事務処理能力も党派を超えて評価が高い Keystone

ジュラ州出身のエリザベット・ボーム・シュナイダー氏は2022年12月7日、3回の議会投票を経てシモネッタ・ソマルーガ氏の後任に選出された © Keystone / Alessandro Della Valle

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2022 年 12 月 7 日、エリザベット・ボーム・シュナイダー氏がスイス史上10人目の女性閣僚に選出された。10人の歩みは、スイス政治の「包摂」の歴史でもある。

1848年から1984年まで、7人の閣僚から成るスイス連邦内閣は常に男性で構成されていた。 1971 年に連邦レベルでの女性参政権が導入されたが、それからエリザベート・コップ氏が初の女性閣僚に選出されるまでに13年の年月を要した。その後の歩みも遅く、今回ようやく10人目の女性閣僚が誕生したのに比べ、男性閣僚は既に111人を数える。

4 年前の2018年12月5日、ヴィオラ・アムヘルト氏が8人目、カリン・ケラー・ズッター氏が9人目の女性閣僚として歴史に名を刻んだ。閣僚枠2ポストが同時に女性で埋まるのは初めてのことだった。

スイス連邦閣僚は4年に一度、12月に連邦両院合同議会で選出される。閣僚が任期途中で辞任し空席が出た時も選挙が行われる。

それが2022年のケースだ。シモネッタ・ソマルーガ氏（社会民主党）とウエリ・マウラー氏（国民党）が年末で退任するのに伴い、2ポストを埋めなくてはならなくなった。

マウラー氏の後任にはアルベルト・レシュティ氏が第1回の投票で当選に必要な過半数票を獲得した。

ソマルーガ氏の後任はジュラ州出身の上院議員エリザベット・ボーム・シュナイダー氏が3回目の投票で過半数を集め閣僚の座を得た。

独語からの翻訳：ムートゥ朋子