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ポランスキー監督釈放 アメリカ送還なし

2010年4月24日、クシュタートの別荘「ミルキー・ウェー」のバルコニーに姿を現したポランスキー氏 Keystone

2009年 9月26日、チューリヒ国際空港で逮捕され、クシュタートの自宅に軟禁されていた映画監督のロマン・ポランスキー氏は現在釈放され、アメリカには送還されないと7月12日、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法相が発表した。

「戦場のピアニスト」などで知られるポランスキー氏は1977年、ロサンゼルスで13歳の少女に対す性的暴行の容疑で逮捕され有罪判決を受けた。その後アメリカから出国し、フランスに逃亡した。

人権と国際秩序を配慮

 ヴィトマー・シュルンプフ司法相は記者会見の場で
「今回のスイス政府の判断は、ポランスキー氏の有罪・無罪やその行為を評価するということではない」
 と始めに断った上で、アメリカへ送還しない理由を以下のように挙げた。

人権や国際秩序の面から、性的暴行が起こったのは33年前で、ポランスキー氏は現在77歳であること。被害者もこれ以上の裁判を望んでいないこと。また、アメリカで有罪判決を受けた後、精神病院に強制的に入院させられていた期間や、すでに10カ月間クシュタート ( Gstaat ) で電子の足かせを着装し自由を束縛されていたことも考慮されると判断したという。また、スイス政府とポランスキー氏の関係について、スイスは、ポランスキー氏が2006年にクシュタート に別荘を買うこと認め、またそれ以降何の問題も起こらなかったことを挙げた。

 スイス政府の判断はアメリカ、フランス、ポーランド当局にも伝えたという。現在のところアメリカからの正式な発表はない。

2009年9月時点では、国際刑事警察機構 ( インターポール ) が国際指名手配されていたためポランスキー氏を逮捕したが、指名手配について検討する必要があるとスイス政府の方針が変わったことをヴィトマー・シュルンプフ司法相は認めた。また、これまで時間がかかったのは、アメリカから必要な書類や情報が渡されなかったことを理由に挙げた。

 現在ポランスキー氏は自宅にとどまっているもようだ。自由人として移動の自由は保障されているが、取り上げられたパスポートなどが返却される必要があるという。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch

2009年9月26日、「戦場のピアニスト」などで知られるポランスキー監督は、「チューリヒ国際映画祭」での全作品回顧上映で賞を受賞するためチューリヒを訪れた矢先、チューリヒ国際空港で逮捕された。逮捕容疑は1977年アメリカでの13歳の少女に対する性的暴行事件にさかのぼり、アメリカは2005年末に同監督の国際手配を強化していた。

10月22日、アメリカ側はスイスの連邦司法警察省(EJPD/DFJP)に対し正式な引き渡し要求を提出。

10月30日、連邦司法警察省は逃亡の可能性が高いという理由でポランスキー監督の釈放申請を却下した。

11月25日、この却下に対し、ベリンゾーナの連邦刑事裁判所は同監督の申し立てを正当と認めた。ただし、450万フラン ( 約4億円 ) の釈放金と、スイスにあるシャレーの自宅から外出することのないよう監視する電子の腕輪の着装、さらに身分証明書の押収という条件を付けた。

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