リビア問題 国内論議まだ続く
リビア問題で新たな事実が明らかとなった。ドリス・ロイタルト連邦大統領は6月21日、連邦政府がリビアに拘束されていたスイス人のマックス・ゲルディ氏とラヒド・ハムダニ氏の2人をひそかに国外へ脱出させる計画を練っていた事実を認めた。
ミシュリン・カルミ・レ外相は、チューリヒの日刊紙「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」とベルンの日刊紙「ブント ( Bund ) 」のインタビューで救出計画があったことをほのめかしていた。
武力による救出も
カルミ・レ外相はインタビューの中で
「連邦外務省 ( EDA/DFAE ) は、人質を救出してスイスへ連れ戻すためのあらゆる手段を検討した」
と述べていた。
ロイタルト大統領によると、連邦政府は2010年2月3日に初めて救出計画があったことを知らされたという。その際、カルミ・レ外相とウエリ・マウラー国防相は報告書を提出するよう要請された。救出計画に従ってすでに一度出動命令が発せられ、その後それが撤回されたが、この報告書は誰がいつ何を知っていたか、また誰が出動命令を発し、それを取り消したのかを明らかにするためのものだった。
報告書は2月15日に提出され、ロイタルト大統領はその後、計画の合法性について法的な鑑定を指示した。その結果、管轄省が出動を検討したことは適切であり、連邦政府が異議を唱える必要はなかったという。
「しかし、連邦政府は外務省と国防省に対し、これからは必ず適時に連邦政府に報告するよう要請した。リビアの人質を考慮して、討議も書類も秘密扱いにすることにした」
ロイタルト大統領はまた
「連邦政府はマスコミの無配慮を厳しく批判する。これは最高機密保持に関する事態であり、漏洩は刑法にも触れる問題だ」
とマスコミに警告した。
空港で出国を拒否
一方、リビアではゲルディ氏とハムダニ氏のほかに、3人目のスイス人が首都トリポリにあるスイス大使館に避難していたことがわかった。外務省は6月20日、これに関するスイスフランス語圏の大衆日曜新聞「ル・マタン・ディマンシュ ( Le Matin Dimanche ) 」の報道を認めた。
外務省広報官のアドリアン・ゾルベルガー氏は
「この男性は外務省の仲介で最終的に出国ビザを得て、2008年10月末にリビアを出国することができた」
と述べたが、それ以外の詳細に触れる言及は控えた。
「ル・マタン・ディマンシュ」の報道によると、この男性は35歳のスイス人で、リビアではパイプラインを建設しているドイツの会社に勤めていた。男性は2008年7月19日、トリポリの空港からの出国を拒否された。ジュネーブでハニバル・カダフィ氏が逮捕された直後のことだ。この男性はゲルディ氏らのように刑務所には送還されず、スイス大使館に助けを求めてここに数週間滞在していた。
swissinfo.ch、外電
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