スイス・EUでサマータイム廃止論が浮上
25日に始まるサマータイム(夏時間)。もしかするとスイスで最後になるかもしれない。スイスや欧州連合(EU)で、議員らが時間の変更に異議を唱えているためだ。約40年の歴史に幕が降りるのだろうか?
25日未明の1時59分。その1分後は2時を迎えずに3時が跳んでくる。この習慣が導入されてから約40年が経つが、その是非は繰り返し議論の的になってきた。スイス連邦議会では、2016年12月からサマータイム廃止の動議が出されたままになっている。それ以前も同じような試みは何度もあったが、いずれも否決されてきた。
連邦内閣の立ち位置は明確だ。スイスがサマータイムを廃止すれば、外国との関係が難しくなるというのだ。ドイツやフランスなどの隣国はスイスの重要な貿易相手。彼らと時計の動きが異なれば、日々のやりとりに支障が出る。いちいち時刻を確認して変換せねばならず、大きな事務コストになりかねない。
ただEUでも夏時間は議論を醸している。欧州議会の議員が2月初め、欧州委員会に対し、夏時間の利点と欠点を精査し、場合によっては夏時間の廃止を検討するよう要求した。この案は明確に過半数を得たが、夏時間の廃止自体を求める交通委員会の要求は否決された。
スイス国民はサマータイムに反対
欧州は1973年に夏時間の導入を決定。同年に起こった第1次石油危機と省エネの考え方が広まったのがきっかけだ。時計を1時間ずらすことで朝が早くなり、企業や家庭は1時間分の太陽の光を有効活用できる。
スイスは81年になってようやく、隣国に歩調を合わせた。1977年、連邦政府と議会がサマータイムの導入を決めたときは、5人の若い農家がレファレンダム(国民投票)を成功させ、これを阻止した。
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