国連が津波被害の支援国会議で透明性をアピール
11日、ジュネーブで国連主催の津波被災地の支援国会議が行われ、国連は支援金の流れを監視するシステムを構築するとともに、外部の会計事務所の監査を受け入れるなど、透明性をアピールした。
世界60カ国が集まる閣僚級会議は今まで口約束された支援額を確固としたものに変えるのが目的だった。国連が緊急アピールした今後半年間で必要な9億7,700万�j(約1千億円)という金額のうち、7億1,700万�j(約740億円)が18カ国から公式に約束された。
ヤン・イゲランド事務次長(人道問題担当)は11日夜の記者会見で、緊急アピールの73%がカバーされたことに対して「国連の歴史で前例がない」と述べ、「今晩はよく眠れる」と会議結果に満足したことを示した。
スイスからはカルミ・レ外相が、日本からは谷川秀善外務副大臣が出席した。谷川外務副大臣は本会議で日本の5億ドル支援額のうち、半分は2国間支援、半分は国際赤十字委員会(ICRC)を含めた国連などの国際機関に当てるという具体的な拠出先を提示した。日本は2億5千万ドル(約257億円)を拠出して緊急アピール額9億7,700万ドル(約1千億円)の4分の1ほどをカバーする形になる。なお、スイスの援助額に変化はない。
国連の最大のチャレンジ
イゲランド事務次長は、世界各国が拠出する巨額の援助金の運営に無駄がないように、米国の会計事務所、プライスヴォターハウス・クーパースに外部監査を委託したことも発表。これに伴い、資金の流れを監視するシステムを増設中で国連人道問題調整事務所(OCHA)が運営するサイト「Relief Web」にて公開する予定だと語った。
各国の拠出額を公開することで加盟国が約束した支援資金をきちんと支払うように促すのが目的だ。国連は去年、旧フセイン政権下で行った「石油・食料交換計画」をめぐり、アナン事務総長の息子や国連高官らの汚職疑惑が浮上した。今回は支援国に信用してもらうためにイメージの改善も狙ったものと思われる。
他の災害・危機も忘れられないように
なお、イゲランド事務次長は「この津波災害で、世界の他の危機に直面している人々がツケを払わせられることがないように願う」と述べ、国連が支援している他の国への活動にも加盟国が支援金の拠出を惜しまないように求めた。
人道支援国スイス
国連会議のホスト国として、スイスの開発協力局長のヴォルター・フスト大使は、津波災害被災地への対応について「ローンよりもキャッシュが必要だ」と語った。
スイスは毎年おおよそ280億フラン(約245億円)を人道支援に費やしており、その内訳は国連、ICRC、二国間援助の3つに分けられる。この他に長期的な復興プログラムを外務省の開発協力局が世界各地で行っている。
swissinfo ジュネーブ、 屋山明乃(ややまあけの)
– インド洋沿岸を襲ったスマトラ沖地震による津波災害が起こってから2週間後の1月11日に、欧州国連本部ジュネーブで世界60カ国が参加した閣僚レベルの支援国会議が行われた。
– この会議で国連は支援金の透明性をアピールし、インターネットで支援資金の流れが監視できるシステムを増設し、援助資金の運営に不正行為がないかなどをチェックする外部の会計事務所の検査を受け入れることを公表した。
– ジャカルタでの被災国支援緊急首脳会議でアナン事務総長は半年間で500万人の被災者を対象に9億7700万ドル(約1千億円)の緊急支援金が必要と訴えた。
– 今回の会議で18カ国が計7億1,700万ドル(約740億円)を公式に約束し、緊急アピールの73%を確保する形となった。
– その中での最大拠出国は日本で2億5,000万ドル(約257億円)と突出して多く、続いて英国7,400万ドル(約76億円)、ドイツ6,800万ドル(約70億円)、ノルウェー6,500万(約67億円)など。
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