新たな人道プラットフォームがジュネーブに
スイス外務省はコフィ・アナン前国連事務総長がジュネーブに国際人道会議を立ち上げる計画を支援していることを認めた。地元紙は今年中にもアナン氏を中心に人道フォーラムが開かれる予定と伝えた。
これはチューリヒの日刊紙ノイエ・チュルヒャーツァイトゥング ( NZZ / 15日付け ) の記事に対し、スイス政府が計画を認めたもの。ジュネーブはさらなる人道支援都市となるとして地元民は歓迎している。
スイス政府は今年中に、この会議をどのような形で行い、いくら出資するかなどを協議しなければならない。ジュネーブに人道プラットフォームをつくるというアイデアはミシュリン・カルミ・レ大統領兼外相から生まれたと、フランス語圏の日刊紙ルタン ( 16日付け ) は伝えている。
ダボス会議の人道支援版に
アナン氏は引退を表明していた2006年末、既に引退生活をジュネーブで過ごす計画を語っていた。ルタン紙によると、当初はアフリカの農業と教育を支援する基金をジュネーブに設立する計画だったが、カルミ・レ大統領から声がかかった。
NZZによると、世界経済フォーラム ( WEF ) が運営しているダボス会議のように、毎年、人道支援に関する重要な人物が集まる国際会議を企画している。ルタン紙は国連の様々な人道機関、国際赤十字委員会やNGOの他に、各国政府やビル・ゲーツ氏のようなプライベートの出資者を集める「人道プラットフォーム」を計画しているという。このプラットフォームを運営する基金の頭にコフィ・アナン氏を想定しているわけだ。
ジュネーブに居を構える
NZZはこの基金が国連欧州本部の向かい側にあるヴィッラ・リゴという政府の建物に入居し、20人ぐらい職員を採用する予定とまで伝えているが、「計画は初期の段階でまだ何もいえない」と政府当局は答えている。
このフォーラムが実現すれば「ジュネーブが人権法の世界の首都として君臨する」とジュネーブ出身のジャン・ジグラー国連特別報告官。同氏はNZZに、人道理事会をジュネーブに立ち上げたことに続き、スイス外交の勝利だと語った。
swissinfo、外電 屋山明乃 ( ややま あけの )
- ガーナ出身のコフィ・アナン前国連事務総長はジュネーブでスイス政府の協力を得て、国際人道支援会議なるものを創設することを計画中。
- アナン氏は学生時代夫人と出会ったゆかりの街ジュネーブで、活発な引退生活を過ごす予定だ。
- 1938年4月8日にガーナで生まれる。
- ガーナとアメリカで経済を勉強した後、ジュネーブで1961年から1962年まで国際高等研究大学院( IUHEI ) に留学し、経営学を専攻。アメリカで経営学の修士号も取得している。
- 1997年に第7代国連事務総長に就任し、2002年、2期目に再選され、2006年の12月まで勤め現在の潘基文 ( パン・ギムン ) 氏と交代。
- 2001年には国連に新しい風を吹き込んだとして、国連とともにノーベル平和賞を受賞。
- 国連事務総長任期中の2002年の秋にスイスは国民投票により国連加盟を果たした。
- 2003年にザンクトガルン大学のマックス・シュミードハイニー基金から自由賞を受賞。
- 2006年にはジュネーブ基金がジュネーブの国際的な地位獲得に貢献したとして賞を授与。
- 現在は夫人とともにジュネーブの旧市街に住んでいる。-
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