スイスの銀行大手クレディ・スイスの化石燃料への投資に対する抗議活動の一環で、同行敷地内に侵入、無断でテニスの試合をした12人の気候変動活動家に対し、ローザンヌの地方裁判所は13日、無罪の判決を出した。
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被告の多くは学生。敷地内に不法侵入したとして課せられた罰金計2万1600フラン(約237万円)の支払いを拒否し、裁判にかけられた。
2018年のビデオ映像では、クレディ・スイス支店内で学生たちがテニスをしているところが映っている。
学生らは、スイスの男子テニス界のスター、ロジャー・フェデラー選手のスポンサーであるクレディ・スイスが化石燃料への投資をしていると批判、フェデラー選手にスポンサー契約を打ち切るよう求めていた。
フィリップ・コロー裁判官は、気候問題の緊急性を鑑みると、学生らの行動は「必要かつ相応」だと判断。「銀行に何らかの対応を取らせる唯一の効果的な方法」であり、メディアと一般市民から「必要な認知度を獲得する唯一の方法」だと述べた。
数千人の学生がここ数カ月間、気候変動に対するさらなる対応を求め、スイス中でデモ活動を行っている。金融部門に対しては、化石燃料からの脱却を求める圧力が高まっている。
クレディ・スイスの対応
12人の活動家を告発したクレディ・スイスは、その行動理念は尊重するが、行動は容認できないとした。同行は先月、新しい石炭火力発電所に対する開発資金の提供を停止すると発表した。
クレディ・スイスは13日、気候変動に対する同行の対応をまとめた報告書も公開。 「気候変動は、地球が直面している最も差し迫った課題の1つ。クレディ・スイスはこの問題との戦いにおいて、重要な役割を果たしていく」と表明している。
フェデラー選手に対し、環境NGOの350.orgはツイッターでクレディ・スイスとのスポンサー契約を批判するメッセージを投稿。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんもこの投稿をリツイートし、大きな話題になった。
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