アラブ人観光客に人気のスイス南部のティチーノ州では、公の場でのベール着用を禁止する法案が2013年に州議会で承認されている。ある右派グループは今年9月、その法案を全国に適用させようと、新たなイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。(SRF/swissinfo.ch)
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このイニシアチブでは、ベールなど、顔全体を覆うあらゆる衣服の着用をスイス全土で禁止することが求められている。発起人は、右派の政治家と活動家からなるグループ。彼らはスイスが「イスラム化」する恐れがあり、また顔を隠すことが治安問題につながると主張している。同グループは2009年、イスラム寺院の塔ミナレットの新規建設を禁止するイニシアチブを成功させ、国際的批判を呼び起こした。
今回のイニシアチブの内容文は、13年にティチーノ州で投票が行われた住民発議が手本となっている。13年の投票では同州の有権者およそ65%が、顔を覆うベールを公の場で着用することの禁止を求めたこの提案に賛成した。同案はまだ法令として施行されていないが、観光業界は、これによりアラブからの富裕層観光客が来なくなるのではと危惧している。
ヨーロッパではフランスが初めて、10年に、ムスリム女性の全身を覆うブルカを公共の場で着用することを法律で禁じた。欧州人権裁判所は14年7月、同法を支持する判決を下した。同様の法律はベルギーやイタリアの一部の町、スペイン、ロシアでも施行されている。
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顔を覆う衣服の着用を全国レベルで禁止すべきかどうかを問う国民投票が行われた場合、スイスの有権者の76%が賛成票を投じるつもりでいる—。実質的なブルカ着用禁止をスイス人の多数が支持していることが調査結果で分かった。
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ブルカの着用禁止は多数派の専制か
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スイスではこれまでの国民投票の結果、イスラム教の尖塔であるミナレットの新設、イスラム教徒の女性が全身を覆い隠すブルカの着用、ユダヤ教の屠殺方法であるシェヒターが禁止されてきた。はたして宗教的マイノリティは直接民主制の下では差別されやすいのだろうか?ある教授の解決策が一石を投じている。
ティチーノ州では2016年7月以降、顔を覆い隠すベールの着用が禁止されている。同州の住民がそう決定したためだ。
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ティチーノ州で、顔全体をベールで覆った女性に出会うことはあまりない。だがここは、フランスを手本にベールの着用禁止を州憲法に明記するスイス初の州となりそうだ。少なくとも観測筋は、有権者の多数が賛成票を投じるとみている。 …
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女性器の切除、一夫多妻制、全身を隠す衣装「ブルカ」の着用、男女間の握手の禁止。イスラム教の慣習が、スイスで波紋を広げている。メディアが流すイスラム教のイメージは女性蔑視のイメージで凝り固まり、スイス南部ティチーノ州では今月から、ブルカやニカブ(イスラム教の女性がかぶるベール)の着用を禁じる法律が施行されるほどだ。
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