10月20日に予定されるスイス総選挙では、緑の党、急進民主党、社会民主党、自由緑の党が議席を伸ばしそうだ。26州で最近行われた選挙結果からは、連邦議会でも左派色が濃くなる可能性が読み取れる。
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世論調査会社gfsベルンの政治学者クロエ・ヤンス外部リンク氏がこれまでに行われた26州の議会・参事会(州政府)選挙を分析した。州選挙でも左派が議席を伸ばしており、総選挙の結果を暗示する。各政党は勢力を強めた地域の結果に基づいて戦略を立て、総選挙に備えることができるからだ。
10月20日、スイスの有権者は国民議会(下院)200議席、全州議会(上院)46議席を巡って投票する。
26州の選挙では、緑の党と急進民主党の勝利が目立つ。
この2党が前回の2015年の州選挙に比べどれほどの成功を収めたか、詳しく見てみよう。
緑の党
下のグラフは各州の議会での前回比の議席増減数を示す。州は増加幅が大きい順に並んでいる。
特に伸びが多いのは大都市だ。例外は首都ベルンのあるベルン州。ベルン州民には環境よりも重大な関心事項があるようだ。
緑の党はフランス語圏(スイス西部)の全ての州で勝利した。なかでもヴァレー(ヴァリス)州の勝利はセンセーショナルと言ってもいい。この辺りではこれまで環境派は時にひっそりと活動しなければならかったが、今回は小さな革命を手にした。負けたのは3州だけだった。
急進民主党
急進民主党はフランス語を話すのか。と思うくらい、同党がフランス語圏ヴォー州とヌーシャテル州で獲得した議席・ポストは多かった。中道に位置する同党は他に11州でも微増し、3州は横ばい。9州では減ったが小幅で、傷は浅かった。
(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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