2022年2月13日のスイス国民投票
メディア助成金、動物実験、たばこ広告、税制――。来月13日実施のスイス国民投票では、多種多様な案件の是非が有権者に問われる。
2022年のスイス国民投票は、極めて豊富な顔ぶれと共に幕開けとなる。年に4回あるうちの最初の国民投票がある来月13日、有権者はレファレンダム2件とイニシアチブ(国民発議)2件について、是非を判断する。
レファレンダム1件目の、メディア助成金を増やすメディア支援関連法案について、世論は割れている。連邦政府・議会は、新聞、ラジオ、テレビ、オンラインメディアの品質と多様性を確保するため、助成金の拡充を盛り込んだ支援関連法案を提案した。同法案では年間1億5千万フラン(約190億円)をメディアに助成し、間接的だけでなく、直接的にも資金援助する。
これに対し、メディアの独立性が損なわれることを危惧した右派政治家や出版社が法律施行に反対するレファレンダムを提起。2月13日の国民投票で有権者に是非が問われることになった。
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印紙税廃止
レファレンダム2件目では、増資で企業に課される印紙税1種の存廃について是非が問われる。企業が有価証券(株式やその他の経営参加権)を発行して資金調達を行う場合、100万フラン(約1億2500万円)を超える部分の1%を徴収するもので、「発行税」と呼ばれる。左派政党と労働組合は廃止に反対。一部の金持ち企業にしかメリットがないとして、レファレンダムに踏み切った。
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たばこ広告の規制
「子供と青少年をたばこ広告から守るために」イニシアチブは、たばこ広告を子供や青少年から遠ざけることで、未成年者の喫煙抑制を目指す。同イニシアチブは2018年、医療や青少年に関わる複数組織が、たばこに関する諸問題になかなか立法措置を講じない国会に反発して立ち上げた。
スイス連邦政府、連邦議会はいずれも内容が行き過ぎだとして反対を表明。間接的対案として、未成年をターゲットにしたたばこ広告を禁止する、新たばこ製品法を昨年秋の国会で可決した。
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動物実験の禁止
動物実験の禁止に関する国民投票が行われるのはスイス史上4度目だ。イニシアチブ「動物実験と人体実験の禁止に賛成―安全と進歩をもたらす研究手法に賛成」は、あらゆる動物実験と人体実験のほか、このような実験を経て開発された新製品の輸入も禁止するよう求めている。
同イニシアチブを立ち上げたのは、自然療法医や医師、有機農家をはじめとするスイス東部ザンクト・ガレンの市民団体で、動物福祉、環境保護、代替医療の分野で活動する約80の団体・企業がこれを支持している。連邦政府と連邦議会は、同案に反対。現行法は十分に厳しいとして、対案は出さなかった。
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(仏語からの翻訳・大野瑠衣子)
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