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2023年6月18日の国民投票

スイスで18日、今年最初の国民投票が行われた。多国籍企業の最低法人税率、環境保護法、COVID-19法の3つの案件について是非が問われ、いずれも可決された。 

国民投票の実施は9カ月ぶり。スイスでは通常、3カ月に一度国民投票が行われる。前回から期間がこれほど空いたのは、スイスの直接民主制の歴史上、非常に珍しい。主な原因は新型コロナウイルスだ。議会が新型コロナ危機への対応に追われたため、他の立法作業、ひいてはレファレンダム(国民表決)の提出が先送りされた。 

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多国籍企業の最低法人税率に関する憲法改正案 

結果:賛成78.5%で可決された。すべての州で賛成が過半数を獲得した。 

経済協力開発機構(OECD)は2021年、世界規模で税の公平性を高めるため、巨大多国籍企業の法人税率の下限を一律15%にする新ルールの導入を決めた。スイスはOECDに加盟している。 

スイスでは、法人税は州の管轄だ。現在、法人税率が15%に満たないのは国内26州のうち21州。スイスがOECDの新ルールに従う場合、15%との差分を連邦の「補完税」新設で補うことになるため、憲法改正が必要となる。 

連邦政府と連邦議会及び各州は、今回の憲法改正案を強く支持していた。賛成派の経済連合エコノミースイスのモニカ・リュール会長は、最低税率導入が不可避ならば、せめて税収基盤は国内にとどめるべきだと話した。同氏が懸念するのは、スイスが新ルールに従わない場合、15%との差分は他国が課税できるため、税収が外国に奪われてしまうことだった。

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しかし左派勢力は、同改革案にある増収の配分比率(75%を州、25%を連邦政府に配分)を不満として、有権者に反対票を投じるよう呼び掛けた。多国籍企業が拠点を置くツークやバーゼル市などばかりに有利で、州間の税制競争を助長すると考えるからだ。社会党のファビアン・モリーナ議員は、同案が否決されれば、より公平な配分の法案を作成できると説いた。

ただ、仮にこの改正案が国民投票で可決されても、タックスヘイブン(租税回避地)というスイスの汚名が一夜にして消えることはないだろう。税の公平性を求める活動家は、世界の平均法人税率(約25%)が実現して初めて、企業が税率の低い地域に生産拠点を移そうとする動きが抑制できるとしている。 

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「タックスヘイブン」スイス 法人税改革でもイメージ払拭は困難か

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2050年までの気候中立目指すスイスの環境新法 

結果:賛成59.1%で可決された。中央及び東スイスの一部の州では反対票が上回ったが、その他の州では賛成票が過半数を超えた。

2つ目は、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す環境保護法だ。スイス気候保護連盟による「氷河イニシアチブ(国民発議)」の対案として、昨年9月にスイス連邦議会が可決。同法の施行に反対する議会第1党の右派・国民党(SVP/UDC)が必要数の2倍を超える有権者の署名を集め、レファレンダム(国民表決)を成立させた。 

この法律には、10年間の気候対策予算として20億フラン(約2900億円)の拠出も盛り込む。同予算はガス・石油暖房の気候配慮型への買い替えを促す家庭向け補助金や、企業の技術開発に対する奨励金に充てる。ただし、2021年6月の国民投票で改正CO2法否決の原因となった課税案は含まれていない。 

SVPを除く全ての主要政党が同法を支持。支持派は、新法が環境保護に効果的であると同時に、化石燃料から脱却しエネルギー自給率を高められるとみる。急進民主党(FDP/PLR)のジャクリーヌ・デ・クアトロ議員は、新テクノロジーやイノベーションへの投資が増えれば、雇用の創出につながると主張した。 

レファレンダムを立ち上げた国民党は、新法を「電力無駄食い法」と批判。国民党のミハエル・グラバー議員によると、2050年までに気候中立を達成するにはガソリン、軽油、重油、ガスの使用を禁止しなければならず、結果的に電力需要が増え、各世帯の光熱費は年間数千フラン増大すると試算。ただでさえエネルギー価格が高騰する今、こうした負担増は許容できないと訴えた。 

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2050年までの気候中立目指すスイスの環境新法が国民投票へ

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COVID-19法 

結果:賛成61.9%で可決された。

ほとんどのスイス人にとって、新型コロナウイルス感染症は過去の遺物になりつつある。昨年4月、新型コロナウイルス感染対策に伴う規制が全面解除されて以来、日常的に公共交通機関でマスクをしている人を見かけることは少なくなった。そんな中、政府が通常の議会審議を経ずに決定を下す際の法的根拠となる「COVID-19法」を巡り、レファレンダムが提起された。スイスでCOVID-19法に関する国民投票が実施されるのは2021年6月、2021年11月に続き3回目。 

スイスの2つの市民団体が提起した。特にワクチン接種、陰性、治癒の「Covid証明書」とアプリ「SwissCovid」のトラッキングシステムに主な焦点を絞り、法的根拠の是非を有権者に問うもの。2021年6月の国民投票では60.2%の賛成で、2回目の2021年11月には投票実施前に活発なデモが行われたが、62%の賛成で可決されている。 

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仏語からの翻訳:大野瑠衣子

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