スイッチ2、キッズ脱毛、ウーブン・シティ…スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が先週(1月13日~19日)伝えた日本関連のニュースから、①「ニンテンドースイッチ2」、年内に発売②子どもの脱毛③トヨタのウーブン・シティ、の3件を要約して紹介します。
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「ニンテンドースイッチ2」、年内に発売
日本を代表するゲーム会社、任天堂が16日、年内に新しいゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチツー)を発売すると発表しました。スイスではドイツ、フランス、イタリアの各言語圏で大きく報じられています。
フランス語圏の大手紙ル・タンは「他社と別路線を貫く任天堂について知っておくべきこと」と題し、家庭用ゲーム機の歴史における任天堂の立ち位置を解説しました。
「スイッチツーは、1億4600万台以上を売り上げた現行機の後を継ぐという厳しい任務を担うことになる」。単に新しい機能を追加するだけでは消費者の購入意欲を湧かせるには不十分だと指摘しました。米マイクロソフトの「Xbox」が凋落するなか、テレビゲーム市場はソニーの「プレイステーション」がほぼ独占状態だとしています。
2017年に発売された「ニンテンドースイッチ」は据置・携帯という2種類の遊び方を合体させ、任天堂は「イノベーションの頂点」に達したと位置づけています。2006年発売の「Wii」や04年の「ニンテンドーDS」も革新的なアイデアで成功しましたが、「商業的な失敗も多い」。「ニンテンドー64」や「ゲームキューブ」は不振に終わったことを挙げています。特に「Wii U」は「任天堂を危うく沈没させるところだった」と伝えました。
もう1つの任天堂の特長は、基盤型プラットフォームのビジネスモデルで、スーパーマリオやゼルダの伝説、動物の森、メトロイド、スプラトゥーンといった、他社のゲームソフトからライセンス収入を得ることを前提としています。任天堂ゲーム機で独占販売されるポケモンシリーズも「世界的・世代を超えた成功」を納めています。「これらのゲームのアクセサリや新しいプレイ方法などを増やし、古いゲームの再発売にも躊躇しない」。また主にファミリー層に狙いを定めたソフトを展開し、「自らをゲーマーだとは思わない消費者を取り込むことに成功している」と指摘しました。
オンラインニュースメディアwatsonドイツ語版は、「スイッチツーは退屈だが問題ない」との見出しで報じています。任天堂が過去のコンソール更新に失敗した経験や、現行機の人気の高さを踏まえると、「大幅な再設計は必要ない。日本人が少し退屈であることを、誰が責めることができるだろうか?」と指摘しました。
ただし株式市場ではスイッチツーへの期待一服から任天堂株が下落しました。東京株式市場で7%、時間外取引でさらに4.5%値下がりしたことを、フランス語圏のスイス通信社Keystone-ATSや仏AFP通信が伝えています。「投資家やファンがすぐにお腹を空かせるには十分だ」として、16日の公式発表前にデザインや色、ボタンのレイアウトなどがリークされていたことを伝えました。(出典:ル・タン外部リンク、bluewin.ch外部リンク/フランス語、watson.ch外部リンク/ドイツ語)
子どもの脱毛
日本の英字メディア、ジャパン・タイムズ外部リンクが9日、日本で小学生や未就学児の間でも脱毛する子どもが増えていると報じました。子どもの自信を高めるか、それとも外見への不安を煽るのか、と疑問を投げかけるこの記事をもとに、日刊紙ターゲス・アンツァイガーなどがドイツ語圏を中心に広く報じました。
記事が紹介した脱毛サロン「ディオーネ」(新宿)は、3歳でも安全な脱毛を提供しています。渋谷支店長の栫(かこい)美穂さんは「需要は高まっている」と話し、12月中旬時点で約30人の子どもが同店に通っていると明かしました。
ターゲス・アンツァイガーは「日本の調和社会は美しさに独自基準を確立し、間違った場所に毛が生えていることを受け入れない」と指摘。この基準を逸脱すると「不注意で規律がないと思われる恐れがある」と伝えました。
また朝日新聞外部リンクを引用し、レーザー脱毛を提供する小児科医院「二子新地ひかりこどもクリニック」(川崎)の三井俊賢理事長の「心の悩みを解決する一つの方法だ」という見方を紹介しました。
無料紙20min.ドイツ語版はジャパン・タイムズの引用に加え、スイスの皮膚科医に子どもの脱毛の安全性について聞きました。チューリヒの皮膚科医院「Skinmed」のザビーネ・クルツィデム医師は、「このような幼い子どもに対するレーザー治療は絶対にダメだ」と断言。成人女性でも火傷を負うことがあり、色素沈着障害を起こす可能性を指摘しました。さらに「子どもの肌は非常に敏感であり、火傷のリスクも高くなります。それは本当に不可能です」と続け、危険性を強調する記事となっています。(出典:ターゲス・アンツァイガー外部リンク、20min.外部リンク/ドイツ語)
トヨタのウーブン・シティ
トヨタ自動車が6日、静岡県裾野市で計画している実験都市「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」で、第1期エリアの建設を完了したと発表しました。20min.のウェブ版は都市のイメージを動画や多数の写真で紹介。またこの都市の住民は「新しいテクノロジーのモルモットになる」と伝えています。
といっても、トヨタの実験をネガティブにとらえているわけではありません。同社の従業員やその家族を中心とする住民は、「市場に出る前に多数の新技術を試すことができる」。トヨタの自動運転車はもちろん、省エネ技術や水素自動車、人工知能(AI)など「他の企業もその恩恵を受ける」と強調しています。(出典:20min.外部リンク/ドイツ語)
【スイスで報道されたその他のトピック】
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話題になったスイスのニュース
先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスでX離れ進む」(記事/日本語)でした。他に「ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発」(記事/日本語)、「スイス、不法航空入国を抑制するためEU規則を採用」(記事/英語)もよく読まれました。
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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は1月27日(月)に掲載予定です。
校閲:大野瑠衣子
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