利上げ、中居引退…スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が先週(1月20日~26日)伝えた日本関連のニュースから、①日銀、0.5%に追加利上げ②中居正広さん引退 揺れる日本のエンタメ業界、の2件を要約して紹介します。
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日銀、0.5%に追加利上げ
日銀は23~24日に開いた金融政策決定会合で政策金利をこれまでの0.25%から0.5%に引き上げました。昨年7月以来の利上げの実施はほぼ予想通りで、スイスではさほど大きく取り上げられませんでしたが、ドイツ語圏の大手紙NZZや同経済紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトが解説を掲載しました。
NZZは日銀のコミュニケーション手法に着目。会合の1週間前から、植田和男総裁や氷見野良三副総裁が利上げを示唆する講演を行っていました。これは前回の利上げが引き金となり、昨年8月5日に世界的な株価暴落が発生したことへの反省があると伝えています。
利上げには9人の政策委員のうち1人が反対していたことにも触れました。金利が上がりすぎれば住宅ローンの返済額が増えるため、賃金の上昇分消費ではなく返済に充てられるなど日銀のシナリオ通りに進まないリスクもあると言います。とはいえ、円安で輸入物価が押し上げられるなか日銀の選択肢は限られ、市場は今後も金利上昇が続くとの予想でほぼ一致していると伝えました。
フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは日本の政策金利がスイスと同じ水準に並んだことを紹介。ただし日本は利上げ、スイスは利下げに向かっていること、その背景に為替の動きがあると解説しました。
また日本の長期金利の上昇が「アジアの転換点」を示していると説明しています。不況に苦しむ中国では金利が低下傾向にあり、「日本の長期金利は今年、史上初めて中国の長期金利を上回る可能性がある」。ドナルド・トランプ米大統領の輸入関税方針の対象を免れていることは日銀にとって好材料ですが、これは急に潮目が変わる可能性があるとくぎを刺しました。(出典:NZZ外部リンク、フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンク/ドイツ語)
中居正広さん引退 揺れる日本のエンタメ業界
人気タレントの中居正広さんが23日、スキャンダル発覚で引退を発表しました。スイスではドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーが「セックス疑惑:日本のテレビスターがキャリアを終える」との見出しでこれを伝えています。
「日本で最も有名なテレビパーソナリティの一人が、性的暴行疑惑のさなか、そのキャリアに終止符を打つことになった」。記事は中居さんをめぐるスキャンダルが「日本のエンターテインメント業界を震撼させ、多額の広告収入を稼いでいる放送局(フジテレビ)に損害を与えている」と総括しています。
記事は性的暴行が中居さん一人の問題ではないと位置づけています。故ジャニー喜多川氏による数百人の青少年への虐待や、フジテレビが中居さんの一件を把握していながら事件を公表していなかったことを指摘しました。(出典:ターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語)
【スイスで報道されたその他のトピック】
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話題になったスイスのニュース
先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスに感染症情報解析センター発足」(記事/日本語)でした。他に「ジュネーブで米国不在のイラン核協議、進展なく終了」(記事/日本語)、「米国、AI半導体輸出先リストからスイスを除外」(記事/英語)も良く読まれました。
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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は2月3日(月)に掲載予定です。
校閲:大野瑠衣子
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