大型予算、北朝鮮ハッカー…スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が先週(12月23日〜19日)伝えた日本関連のニュースから、①過去最大の予算案を閣議決定②北朝鮮の仮想通貨ハッカーを共同非難、の2件を要約して紹介します。
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過去最大の予算案を閣議決定
政府は27日、一般会計が総額約115.5兆円となる2025年度予算案を閣議決定しました。一般会計として過去最大規模となった予算の概要を仏AFP通信が報じ、ル・マタンや20min.など複数のフランス語圏メディアが転載しました。「人口高齢化と地域の脅威に対応する予算」と説明しています。
記事は、「日本は戦後に制定された平和憲法により軍事力は防衛手段に限られている」と紹介したうえで、中国がもたらす脅威を受けて2022年に「国家安全保障戦略」を策定したと説明。北朝鮮の弾道ミサイルや、中国船舶の動きを監視する衛星システムへの投資として予算を積んだとしました。
また自衛官不足への対策にも力点を置いているとして、前日の読売国際経済懇話会外部リンクで石破茂首相が熱弁した「どんなに立派な戦闘機や護衛艦、車両を持っても、動かす人がいなければどうにもならない」との発言を引用しました。
イタリア語圏ではスイス通信社Keystone-ATSの記事が複数掲載されました。予算の約3分の1が高齢化にともなう社会保障費に充てられること、6年連続で過去最高の税収を記録しているにもかかわらず28.6兆円もの新規国債が発行されることを説明しています。(出典:20min.外部リンク/フランス語、Keystone-ATS/イタリア語)
北朝鮮の仮想通貨ハッカーを共同非難
警察庁は24日、北朝鮮のサイバー集団「トレイダートレイター(Trader Traitor)」が今年5月にDMMビットコインから約482億円の暗号資産を窃取したことを突き止めたと発表外部リンクしました。米連邦捜査局(FBI)などと共同で同集団や北朝鮮を非難する共同の声明文を公表したことを、フランス語圏の大手紙ル・タンが伝えました。
記事はハッカーが使った手法「標的型ソーシャルエンジニアリング」に重点を置いて解説しました。これは「標的に関するデータを収集し、信頼できるメッセージを送って誤信を誘う」ハッキング手法で、今回のケースではハッカーがリクルーターを装ったメッセージをDMMの委託先に送り、これにより従業員になりすますことが可能になったといいます。
警察庁・FBIの「これからも北朝鮮に利益をもたらすサイバー犯罪及び暗号資産窃取を含む違法な活動を明らかにし、戦いを続けていく」との声明文を引用。北朝鮮のサイバー戦争計画は1990年代に遡り、政府のサイバー部隊「121局」現在はロシア・ベラルーシや中国、インド、マレーシアに6000人の隊員がいると紹介しました。
ソーシャルエンジニアリングはスイスの連邦サイバーセキュリティ―局も「ほぼすべてのサイバー現象の根底にある」として、ホームページ外部リンクなどで注意喚起をしています。(出典:ル・タン外部リンク/フランス語)
【スイスで報道されたその他のトピック】
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- 民家のこたつにクマ 福島外部リンク(12/24)
- 中国の軍備拡大に「深刻な懸念」 日中外相会談外部リンク(12/25)
- JALにサイバー攻撃 飛行機遅延(12/26)
- PFAS流出疑いで横田基地に立ち入り検査(12/27)
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- カウフマン元オリンパス社長に懲役10カ月 東京地裁(12/27)
- 筧千佐子死刑囚が獄中で死亡外部リンク(12/27)
- 2050年には独居高齢男性が520万人に(12/28)
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話題になったスイスのニュース
先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスとEU、今後の二国間関係について合意」(記事/日本語)でした。他に「クレディ・スイス危機への対応『時間がかかりすぎた』 議会調査委が報告書」(記事/日本語)、「大雪により各地で交通規制」(記事/英語)も良く読まれました。
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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は1月6日(月)に掲載予定です。
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